Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
その他

(S870)

食道憩室を描出可能な音響放射圧(ARFI)を利用したエラストグラフィー

Novel elastography using acoustic radiation force impulse for patients with cervical esophageal diverticulum

中島 祥晴, 福原 隆宏, 松田 枝里子, 堂西 亮平, 横山 裕子, 北野 博也, 竹内 裕美

Yoshiharu NAKASHIMA, Takahiro FUKUHARA, Eriko MATSUDA, Ryohei DONISHI, Yuko YOKOYAMA, Hiroya KITANO, Hiromi TAKEUCHI

鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Tottori University Faculty of Medicine

キーワード :

【はじめに】
従来のエラストグラフィーは,用手圧迫による組織のひずみを画像化する.一方,新しいエラストグラフィーはAcoustic Radiation Force Impulse(ARFI)を利用した音響圧迫を行う.組織全体を広く圧迫する用手圧迫に比べ,音響圧迫は対象組織に局所的な音響圧迫を細やかに行い,組織のずれを画像化するという違いがある.この度,従来の用手圧迫では描出できなかった食道憩室が,ARFIを利用したエラストグラフィーでは明瞭に描出可能であることが明らかとなったため,この結果を考察し,ARFIエラストグラフィーの新たな可能性について報告する.
【症例】
当科で頭頸部超音波を施行し,食道憩室が明らかとなった2症例について検討をおこなった.症例1は79歳,男性.菌状息肉腫の治療経過中のCTで甲状腺結節を指摘され,当科紹介となった.超音波検査と細胞診により甲状腺左葉に乳頭癌を認め,右葉裏面の腫瘤はCTで食道憩室が疑われた.左葉の乳頭癌のエラストグラフィーの所見は,strainエラストグラフィーでは4段階スコアでスコア3,ARFIエラストグラフィーでは境界の不明瞭な黒色で描出された.一方,右葉の裏面に見られた憩室のエラストグラフィーは,strainエラストグラフィーでは明らかな腫瘤と認識できず,ARFIエラストグラフィーではBモード像ときれいに一致した境界明瞭な白色に描出された.
症例2は68歳,男性.飲み込みの詰まり感で紹介受診され,透視検査と超音波で食道憩室が明らかとなった.超音波所見では甲状腺の左葉の裏面に甲状腺との境界が明瞭な低エコーを認めた.エラストグラフィーは,strainエラストグラフィーでは明らかな腫瘤と認識できず,ARFIエラストグラフィーではBモード像ときれいに一致した境界明瞭な白色に描出された.
【考察】
ARFIは,生体に副作用を出さない程度に出力を抑えた弱い収束超音波である.生体組織変位は1から20μmであり,ARFIエラストグラフィーは繊細な変化をとらえグレースケールで画像化する.一方,触診での組織の硬さは,被膜の緊張によるものと,対象組織そのものの硬さとに大別される.ARFIエラストグラフィーでは繊細な変位をとらえるため,本症例のように対象が柔らかいものに対しては,strainエラストグラフィーは感度がよいのではないかと思われた.ARFIエラストグラフィーの特性を利用することで,組織の変化を高い感度で検出できる可能性が示唆された.