Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
その他

(S869)

感染性心内膜炎との鑑別に難渋した不明熱の一例

Difficult management of unidentified fever patient with mitral valve prolapse: case report

泉 学

Manabu IZUMI

済生会宇都宮病院総合内科

General Internal Medicine, Saiseikai General Hospital

キーワード :

症例は,56歳男性.既往歴に,僧帽弁逸脱症(MVP)があり,心不全症状はないものの,手術を前提に半年に一度他院で心臓超音波検査(心エコー)を行われていた.約5日前から徐々に増悪する右鼠頸部の発熱と主張を主訴に,近医を受診し,炎症反応高値を指摘され,当院へ紹介となった.受診時,ややシックな印象を認めた.右鼠頸部は,弾性軟で表面平滑なリンパ節と思われる組織を認め,可動性は良好であった.エコー上では,右鼠頸部の炎症性変化を認め,反応性リンパ節腫大と考えられた.膿瘍の形成は認められなかった.CTでもリンパ節腫大とその周囲の脂肪組織濃度の上昇を認め,リンパ節炎として矛盾しない所見であった.WBC 8100(Neu 80%)CRP 11.55という検査所見から,組織性壊死性リンパ節炎(菊池病)などを考えたが,基礎疾患より,感染性心内膜炎(IE)のhigh risk症例と考えられたため,化膿性リンパ節炎などを念頭にCEZ + CLDMで治療を開始した.肝機能障害も認められていたため,前医処方による薬剤性を考えて,DLST検査も併せて提出していた.入院翌日,体幹を中心とした発赤を認められた.抗菌化学療法を行っていたが,採血上の改善はわずかで,発熱は38度以上の繋留熱で続いていた.リンパ節生検については,外科にコンサルトしたものの,深いため侵襲が大きいと断られた.口腔内の多発アフタ性潰瘍も認められ,感染症というよりは,不全型ベーチェットを疑い,膠原病科にコンサルトを行ったが,IEの除外は必要とアドバイスを受けた.そこで,血液培養は,二セット陰性を2回確認し,心エコーを循環器内科へ依頼とした.当院での診断結果は,IEに矛盾しないvegetationを認めるというものであった.頻脈が持続し,呼吸苦も出現してきた事より,MVPフォロー中の病院に紹介となったが,同院の心エコーでは,フォロー中の所見と変わらないということであり,再度当院での治療を指示された.
一貫して血液培養は,陰性であったため,抗菌化学療法を中止.PSL 40mg/dayから開始したところ,病態は著明に改善し,肝機能なども開放に向かった.その後は,PSLを徐々に減量し,リンパ節も悪化することなく,症状改善した.経過からは,菊池病か不全型ベーチェットを疑っているが,確定診断は得られなかったが,症状改善し,退院となった.外来でPSLは漸減中止となったが,症状の悪化はなく終診となっている.
MVPを基礎疾患に持ち,新規心不全も発症したIEとの鑑別に難渋した不明熱の症例を経験したので報告する.