Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常③

(S853)

第1子・第2子ともに常染色体劣性多発性嚢胞腎と診断された一例

Autosomal recessive polycystic kidney disease in siblings: A case report

佐久間 淳也1, 鷹野 真由実1, 福田 雄介1, 河西 貞智1, 西村 鉄也1, 水谷 百絵1, 大路 斐子1, 中田 雅彦1, 興田 仁志2

Junya SAKUMA1, Mayumi TAKANO1, Yusuke FUKUDA1, Sadanori KASAI1, Tetsuya NISHIMURA1, Momoe MIZUTANI1, Ayako OJI1, Masahiko NAKATA1, Hitoshi YODA2

1東邦大学医療センター大森病院産婦人科, 2東邦大学医療センター大森病院新生児科

1Obstetrics and Gynecology, Toho University Omori Medical Center, 2Neonatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【緒言】
常染色体劣性多発性嚢胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease: ARPKD)は40,000出生中1例に発生する非常に稀な疾患である.超音波検査における出生前診断での特徴的な所見は腎臓のエコー輝度の増大と腎腫大である.出生後は,腎機能障害と肺低形成による呼吸障害が生命予後を左右する.今回,第1子がARPKDと診断され,第2子も特徴的な腎腫大と羊水過少を呈し,胎児期よりARPKDが疑われた1例を経験したので報告する.
【症例】
34歳,2回経妊1回経産,第1子・第2子ともに自然妊娠である.第1子妊娠時の経過中に羊水過少を認め,出生後の病理組織診断でARPKDの診断を受けた.その後第1子は1歳6カ月のときに,本人から第1子への生体腎移植が施行された.今回,第2子妊娠中に妊娠26週より羊水過少を認め,妊娠27週0日に精査目的に当院へ紹介受診となった.超音波検査では羊水腔を認めず,両側の腎臓はびまん性に高輝度で,右腎は36×38×46mm,左腎は36×37×45mmと著明な腫大を認め,第1子の家族歴も考慮しARPKDの出生前診断に至った.児の両側の肺によるLTRは0.32,左肺のo/e LHRは43.4%,右肺は51.4%であった.妊娠36週1日より周産期管理目的に入院となり,妊娠37週3日に選択的帝王切開術を施行した.児は2483gの男児で,Apgar scoreは1分値7点,5分値8点であった.出生後の呼吸障害のため,気管挿管および陽圧換気,NO投与による呼吸管理を要した.出生後はほとんど排尿を認めず,著しい腎機能障害を認めた.今後は呼吸状態の安定を待って腹膜透析の導入が検討されている.
【まとめ】
今回,出生後に第1子がARPKDと診断され,第2子は胎児期より超音波検査で特徴的な所見を認め,ARPKDを念頭に妊娠管理を行った1例を経験した.ARPKDは常染色体劣性の遺伝性疾患であり,同胞発生の可能性を考慮し,妊娠前からの十分なカウンセリングと原因遺伝子検索や両親の腎機能の評価,および次回妊娠時の厳重な周産期管理を要すると考えられた.また,ARPKDにおける超音波検査やMRIなどによる肺低形成の予測法の検討が重要と思われた.