Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常①

(S850)

胎児骨系統疾患の4症例

Four cases of fetal skeletal dysplasias

比嘉 貴子

Takako HIGA

帝京大学医学部附属病院産婦人科

Research Associate, Department of Obstetrics and Gynecology, Teikyo University School of Medicine

キーワード :

胎児骨系統疾患の4症例を経験したので報告する.
【症例報告】
【症例1】
28歳1回経妊1回経産.妊娠24週に児の両側大腿骨長(femur length : FL)の短縮(-2.57SD)と彎曲を認め当院紹介受診.超音波断層像では右FL-1.62SD,左FL -0.95SDの短縮と彎曲を認めるも,その他の明らかな異常を認めなかった.家族歴,FLの短縮・彎曲から常染色体優性遺伝性の骨形成不全症(osteogenesis imperfecta:OI)Ⅰ型またⅣ型を疑った.骨短縮パターンはrhizomelic typeであった.妊娠38週経腟分娩で娩出.女児,体重2370g.身体所見では両上下肢に自動運動を認め,両側股関節の開排制限を認めた.出生後のエックス線画像と家族歴から,OI I型またはIV型と診断した.また,この症例をきっかけに同胞が同疾患である事が診断された.
【症例2】
37歳5回経妊3回経産.家族歴に骨系統疾患なし.妊娠21週から胎児長管骨の短縮傾向を認め,骨系統疾患疑いにて妊娠25週に当院へ紹介された.初診時micromelic typeの長管骨短縮(FL -3.9SD),大腿骨・脛骨の屈曲,足趾の著明な内反を認めた.妊娠31週の胎児CTでOIが疑われた.また,骨折像は認めないが頭蓋骨が薄g(-3.1SD).出生後のエックス線画像でOIの軽症型と診断しく経腟分娩のリスクが危惧された.最終的には,骨盤位であったため妊娠37週に帝王切開で娩出した.児は男児,体重1870g.臍帯血DNAでの遺伝子解析の結果,OIⅢ型やⅣ型で多く認める,COL1A1遺伝子の変異を確認した.
【症例3】
32歳2回経妊0回経産.FL短縮傾向を認め,32週に当科紹介受診.胎児超音波断層像ではBPDは+3SDと大きく,micromelic typeでFLは-3SD前後であった.また,足指は長く,第1,3,5指と第2,4指が互い違いであった.鼻根部は陥凹,前頭部は突出,軽度の胸郭低形成疑いであった.以上の所見より,致死的でない骨系統疾患を疑った.超音波検査上,上腕骨骨折が疑われたため,経腟分娩のリスクを考慮し妊娠37週に帝王切開で娩出した.男児,体重3520g.出生後のエックス線画像で変容性骨異形成症と診断した.臍帯血DNAでの遺伝子解析で同症に既知のTRPV4遺伝子の変異を認めた.
【症例4】
36歳0回経妊0回経産.妊娠初期にNT(Nuchal translucency)肥厚を認めたため当院紹介受診.妊娠16週の羊水染色体検査で異常は認めなかった.妊娠23週にFL短縮を,その後micromelic typeの明らかな四肢の短縮を認めた.体幹に対して頸部が過度に回旋し,骨系統疾患を疑った.妊娠32週に胎児3D CTを撮影しthanatophoric dysplasia(TD)type 1と読影した.臨床倫理委員会にて検討する予定であったが,方針決定前に妊娠33週で常位胎盤早期剥離となり緊急帝王切開を施行した.男児,体重3520g.遺伝子検査の結果,TD type 1に既知のFGFR3遺伝子の異常を認めた.現在,出生後4年間呼吸器管理となっている.
【考察】
症例1は家族歴が診断に重要であり,症例2,4は胎児CTが有用,症例3は超音波検査による足指の所見が特徴的であった.骨系統疾患は全体としては無視できない程度にあるが,それぞれの疾患は稀で非常に種類が多く臨床症状は多彩である.四肢長管骨長のみならず,長管骨の骨折や彎曲,骨幹端の変化,胸郭の低形成などの総合的な超音波検査の評価,家族歴の詳細な聴取,厳密な線量管理の下での胎児CTなどを症例に応じて行い,個々に対応する事が要求される.