Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 羊水・羊膜・胎盤

(S846)

妊娠中期の無羊水症例に対して単回の人工羊水注入が奏功した1例

Single amniotic infusion for second-trimester anhydramnios

伊尾 紳吾, 近藤 英治, 大須賀 拓真, 浮田 真吾, 杉並 興, 濱西 潤三, 小西 郁生

Shingo IO, Eiji KONDOH, Takuma OSUGA, Shingo UKITA, Ko SUGINAMI, Junzo HAMANISHI, Ikuo KONISHI

京都大学医学部附属病院産科婦人科

Department of Gynecology and Obstetrics, Kyoto University Hospital

キーワード :

【緒言】
人工羊水注入療法は主に前期破水に伴う妊娠中期の羊水過少症に対して,肺低形成予防および臍帯の圧迫解除による胎児循環の改善を目的として行われる.今回,妊娠中期に突然発見された無羊水症例に対して,単回の人工羊水注入が羊水量の正常化,胎児機能不全の消失および妊娠期間延長に寄与した1例を経験したので報告する.
【症例】
34歳,初産婦.既往歴と内服薬に特記事項ない.前医で自然妊娠と診断され,妊娠17週までの妊婦健診では特に異常を指摘されていなかった.妊娠21週の妊婦健診で無羊水症を認め,妊娠22週5日に当科紹介受診し翌日入院となった.IGFBP-1検査およびニトラジン検査陰性であり,前期破水は否定的であった.超音波検査ではamniotic fluid index 0cm,臍帯付着部は胎盤の中央付着であるが,胎盤が2つ折りになった部分に付着していた.antenatal coiling index(臍帯捻転1周期長/1)0.87およびcoiling pitch(臍帯捻転1周期長/臍帯外径)1.09の臍帯過捻転,胎児尿産生量の低下を認めたが,明らかな構造異常や胎児発育不全はなく,MRI検査では腎臓の腫大や欠損は認めなかった.妊娠22週6日に臍帯動脈の拡張末期血流途絶,胎児一過性徐脈の出現を認め,無羊水症に伴う過度な臍帯圧迫による胎児機能不全を疑い,妊娠23週0日にPTC針(21ゲージ)を用いて経腹的に子宮内に生理食塩水350mlを注入した.人工羊水注入後,羊水量および臍帯動脈pulsatility indexは正常化し,胎児機能不全を認めず,その後の胎児発育も良好であった.妊娠34週時に超音波検査による胎児尿量計測を行い,尿産生量が正常であることを確認した.妊娠39週6日に経腟分娩となった.児は2382gの男児で,Apgar score8点/9点(1分値/5分値),臍帯動脈血pH7.172であった.臍輪部狭窄を含めた外表奇形はなく,出生後の1日尿量も正常であった.娩出した胎盤の中央に臍帯が付着し,postnatal coiling index(全捻転数/臍帯全長)0.63であり,臍帯過捻転を認めた.
【考察・結語】
妊娠中期における無羊水症の主な原因は前期破水,胎児胎盤機能不全,胎児尿路奇形,双体間輸血症候群,臍帯因子,母体の非ステロイド系抗炎症剤内服が挙げられる.妊娠中期に持続する無羊水症は臍帯圧迫による羊水過少症,胎児機能不全,子宮内胎児死亡の報告もあることから,慎重な周産期管理が肝要である.本症例では臍帯過捻転を認め,臍帯圧迫による胎児一過性徐脈および胎児尿産生量低下が出現したと考えられた.人工羊水注入療法は臍帯因子による著明な羊水過少症や無羊水症例において,子宮内胎児死亡や肺低形成を予防し,児の予後を改善できると考えられた.