Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児心臓・血管

(S844)

ガレン大静脈瘤との鑑別が困難であった脳動静脈瘻

A case of fetal pial arteriovenous fistula(AVF)with difficulty in prenatal diagnosis

水内 将人1, 2, 室本 仁2, 3, 佐藤 信一4, 井ケ田 小緒里2, 和形 麻衣子2, 3, 原田 文2, 室月 淳2, 3

Masahito MIZUUCHI1, 2, Jin MUROMOTO2, 3, Shinichi SATO4, Saori IGETA2, Maiko WAGATA2, 3, Aya HARADA2, Jun MUROTSUKI2, 3

1札幌医科大学産科・周産期科, 2宮城県立こども病院産科, 3東北大学大学院医学系研究科先進成育医学講座胎児医学分野, 4宮城県立こども病院新生児科

1Obstetrics, Sapporo Medical University, 2Obstetrics, Miyagi Children’s Hospital, 3Department of Advanced Fetal and Developmental Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine, 4Neonatology, Miyagi Children’s Hospital

キーワード :

【緒言】
小児における脳動静脈奇形の17%は脳動静脈瘻によるものと言われるが,出生前に診断されることは稀である.新生児期に症状を来し得る中枢神経系の血管奇形にはガレン大静脈瘤・硬膜動静脈瘻がある.適切な出生前診断により出生直後からの内科的治療や血管内治療が可能となるため,出生前の診断は重要である.今回我々は脳室拡大,豊富な血流を伴う動静脈瘤を出生前に認めたことからガレン大静脈瘤と判断し,出生後の評価により脳動静脈瘻と診断・治療した症例を経験したので報告する.
【症例】
24歳,1経妊1経産.遺伝性出血性毛細血管拡張症を示唆する家族歴は認めない.自然妊娠成立し,妊娠初期より一次施設にて妊娠管理されていた.妊娠33週側脳室の拡大が疑われ前医紹介受診.胎児超音波検査にて小脳上方第3脳室付近に26x19mmの静脈瘤をみとめ,ガレン大静脈瘤が疑われた.精査・出生後の新生児治療目的に妊娠34週4日当科紹介初診となる.胎児超音波検査では側脳室16mmと拡大,小脳上方に28mm大の内部に豊富な血流が存在する静脈洞を認めた.妊娠34週胎児MRIを施行し,両側側脳室および第3脳室の対称性の拡張・中脳後方,小脳上方に25mm大のsignal voidをみとめた.CTARは34.6%と心不全徴候は認めず,その他明らかな異常所見は認めなかった.以上よりガレン大静脈瘤と胎児診断し,頭囲の拡大および心不全徴候の出現に留意しながら経過観察を行った.妊娠39週4日自然陣痛発来し2809g女児,Apgar Score 8(1分値)/9(5分値)にて出生.出生後の新生児MRIおよび頭部造影CTにて左右の後大脳動脈分岐部の起始部付近で,脳底動脈左側から瘤腹側に向かう拡張血管が認められたが,ガレン大静脈には拡張所見をみとめず,脳動静脈瘻と診断した.出生後の全身状態は安定していたが,頭囲の拡大が進行したため,非交通性水頭症の治療として脳室腹腔シャントを選択するも,シャントにより脳圧の低下から動静脈瘻血管が増大し,周囲への圧迫から神経症状の悪化が予想されたため,血管内治療を日齢41に施行.治療後に動静脈瘻血管は縮小し,非交通性水頭症も改善し日齢54に退院となった.入院経過中,けいれん・無呼吸発作・哺乳力低下など,水頭症に起因すると考えられる神経症状は認めなかった.
【考察】
出生前の適切な診断は分娩施設の検討や,新生児期の早期治療介入の必要性を判断するためにも重要であると考える.胎児頭蓋内に認める豊富な血流所見を認めた場合には,ガレン大静脈瘤と共に脳動静脈瘻を鑑別の一つとしてあげることが重要である.