Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
乳腺

(S831)

腺腫様甲状腺腫術後経過観察中に早期乳癌が発見された1例

A Case of early breast cancer discovered by the follow-up after the operation of adenomatous goiter

櫻井 健一1, 2, 藤崎 滋2, 富田 凉一2, 長島 沙樹1, 2, 鈴木 周平1, 2, 原 由起子1, 2, 安達 慶太1, 増尾 有紀1, 榎本 克久1, 平野 智寛1

Kenichi SAKURAI1, 2, Shigeru FUJISAKI2, Ryouichi TOMITA2, Saki NAGASHIMA1, 2, Shuhei SUZUKI1, 2, Yukiko HARA1, 2, Keita ADACHI1, Yuki MASUO1, Katsuhisa ENOMOTO1, Tomohiro HIRANO1

1日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学分野, 2医療法人社団藤崎病院外科

1Department of Breast and Endocrine Surgery, Nihon University School of Medicine, 2Department of Surgery, Fujisaki Hospital

キーワード :

一般的に甲状腺疾患はよく遭遇する疾患である.内分泌疾患の専門科を持たない一般病院の内科でも投薬治療などが恒常的に行われている.しかしながら,手術適応となり手術を行うことになった場合,甲状腺疾患に対して恒常的に手術を行える一般病院は少ない.外科を併設する一般的な病院では,甲状腺手術の経験のある外科医は少なく,甲状腺ゾンデ等の特殊な手術器具も設置していることは少ない.この場合,甲状腺疾患を扱う専門の病院などに紹介して手術をしていただくことになる.今回,我々は内分泌内科・外科を標榜していない一般病院で経験した腺腫様甲状腺腫手術後に乳癌を発症した症例を経験したので報告する.
症例は73歳,女性.急性上気道炎の診断で胸部CTを撮影したところ,甲状腺に腫瘍性病変を指摘され外科に紹介された.超音波検査では甲状腺左葉下極に直径25ミリの腫瘍性病変を指摘された.穿刺吸引細胞診を施行したところClassIIの診断であった.気管偏移を認め,本人の希望もあり甲状腺左葉切除術を施行した.術後は合併症なく第5病日に退院した.定期的に経過を観察していたが,1年後の胸部造影CT検査で右乳房に異常が発見された.超音波検査で右AE領域に14ミリの腫瘍を認め,吸引式針生検術を施行したところ,非浸潤性乳管癌と診断された.他臓器に転移のないことを確認した後,胸筋温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検術を施行した.病理組織診断は浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌),切除断端陰性,リンパ節転移なし,ER陽性,PgR陽性,HER-2陰性,Ki-67 30%でありT1N0M0=StageIと診断された.術後はAromatase Inhibitorの投与を施行している.甲状腺手術より術後7年目の現在,明らかな転移・再発を認めていない.
手術室のある一般的な病院でも甲状腺疾患に対する検査機器・手術器具を設置していることは少ない.専門用具を用いなくても手術は可能であるが,今後予想される甲状腺疾患手術の増加に対して,より多くの専門医の育成や甲状腺疾患手術が可能な医療機関の整備が必要であると考えられた.