Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 消化管:良性

(S821)

閉鎖孔ヘルニアの2例,エコー下用手還納について

Two Cases of Obturator Hernia: Manual Reduction Under Ultrasound

上田 真

Makoto UEDA

沖縄県立中部病院外科

Surgery, Okinawa Chubu Hospital

キーワード :

【はじめに】
閉鎖孔ヘルニアを近年術前にエコーで診断し,用手的に還納する報告が多数ある.今回閉鎖孔ヘルニアをエコーにて2例術前に診断したので報告する.
【症例1】
71才女性.左ソケイ部痛にて来院.エコーで閉鎖孔ヘルニアと診断した.エコーで嵌頓腸管を観察しながら用手的に還納し,準緊急的にソケイ法にて手術を行った.腸管に壊死はなかった.ダイレクトクーゲルパッチによるヘルニア手術を行った.
【症例2】
84才女性.嘔吐と発熱にて当院受診.エコーにて閉鎖孔ヘルニアと診断した.脱出腸管が嵌頓壊死していると判定し,ヘルニアの用手還納は試みなかった.緊急開腹手術を施行したところ小腸が嵌頓しており,ヘルニア嚢から嵌頓を解除した.腸管に壊死はなかった.ダイレクトクーゲルパッチによるヘルニア手術を行った.
【考察】
閉鎖孔ヘルニアをエコーにて術前に診断することは珍しいことではなくなってきている.近年エコー下に閉鎖孔ヘルニアの用手還納の報告があり,手術を待機的に行うことが可能になっている.今回脱出腸管をエコーで観察し,他の検査でも炎症所見がないときはヘルニア嵌頓の用手還納を行い成功した.腸管壊死があると判断したときには用手還納を行わず緊急手術を行った.このように閉鎖孔ヘルニアにおいて超音波検査は診断だけでなく腸管の状態の診断,用手還納ができるため非常に有用であると考えられる.