Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 肝腫瘍①

(S803)

造影超音波検査を施行した広範なpeliotic changeを伴った肝細胞癌の1例

A case of hepatocellular carcinoma with peliotic change in which contrast-enhanced ultrasound was useful

野村 寛1, 松居 剛志2, 真口 宏介2, 瀧山 晃弘3, 篠原 敏也3

Hiroshi NOMURA1, Takeshi MATSUI2, Hiroyuki MAGUCHI2, Akihiro TAKIYAMA3, Toshiya SHINOHARA3

1手稲渓仁会病院臨床検査部, 2手稲渓仁会病院消化器病センター, 3手稲渓仁会病院病理診断科

1Clinical Laboratory, Teine-Keijinkai Hospital, 2Center for Gastroenterology, Teine-Keijinkai Hospital, 3Department of Pathology, Teine-Keijinkai Hospital

キーワード :

【症例】
60歳代男性.他院でアルコール性肝障害により通院中.CEAが17.9ng/mlと高値を示したため精査目的に当院紹介となる.血液検査ではアルコール性と考えられる軽度の肝障害を認め,腫瘍マーカーはAFP 8.6ng/ml,CEA 23.4ng/ml,CA19-9 78.7U/mlと上昇していたがPIVKA-2は正常範囲内であった.肝炎ウイルスマーカーは抗HCV抗体,HBs抗原陰性,HBc/HBs抗体陽性のHBV既感染パターンを呈した.腹部超音波検査では肝S7に径51mmの類円形の腫瘤像を認め,辺縁は低エコー帯,内部は高エコーで不均一であった.造影超音波検査ではソナゾイド®投与後15秒より腫瘤内部に蛇行した血管が染影され,その後徐々に染影の広がりを認めた.染影は1分30秒後も持続し,後血管相では境界明瞭で整な類円形のdefectとなった.腹部造影CTでは病変内部の腹側は動脈相で濃染し,その後wash out,病変内部の背側は動脈相から濃染し,その後徐々に濃染部が広がるパターンを呈した.腹部EOB-MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,DWIでは高信号を呈し,病変内の背部により高信号を呈する部位が存在した.肝細胞相では類円形のdefectとなり,Dynamic studyでは病変の腹側は早期濃染しwash out,背側部は徐々に濃染が広がった.血管造影ではいわゆる綿花状の濃染を示したが,その後poolingすることなく複雑な血管構築をもったまま内部に徐々に拡散した.CTHAでは辺縁から結節状に増強され,内部に増強域が広がるfill-inパターンを示したが,後期相における造影剤のpoolingは辺縁にわずかに見られるのみであった.CTAPでは類円形のdefectを認めた.鑑別診断として肝血管腫,硬化型肝細胞癌などの特殊型肝細胞癌などが考えられたが,造影超音波後血管相にて完全な類円形defectとなり肝血管腫としては否定的であり,特殊型肝細胞癌を第一に考え肝切除術を施行した.肉眼所見は50×34mm大の被膜に覆われた単純結節周囲増殖型病変で内部は黄色から黄緑色調の充実部と高度の出血の部位を認めた.病理組織所見ではクロマチンに富む腫大した核,好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が中索状構造を主体に著明なpeliotic changeを伴って増殖していた.
【考察】
広範なpeliotic changeを伴った肝細胞癌に造影超音波を施行した.本例は造影超音波により腫瘤内部に蛇行した血管が染影され,同部より染影の広がりを認め,辺縁から内部に染影が広がる血管腫とはこの点で鑑別可能と考えた.また,染影は後期にまで広範に遷延したことは,広範なpeliotic changeに矛盾しない所見と考えられた.後血管相では境界明瞭で整な類円形のdefectを呈したことも,膨張性の発育で被膜を持つことを疑う所見であり,肝血管腫を否定し得た.
【結語】
造影超音波の血管相,後血管相ともに診断に有用であったpeliotic changeを伴った肝細胞癌の1例を経験した.