Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑧

(S798)

脳塞栓症発症後,左心耳内血栓消失を経胸壁,経食道心エコーにて経時的に観察した一例

A case of LAA thrombus vanishing after cerebral infarction, which could be observed by TTE and TEE

青山 琢磨1, 小野 大樹1, 河田 祐佳1, 山田 雄大1, 鈴木 圭太1, 山浦 誠1, 井戸 貴久1, 高橋 茂清1, 伊藤 葵2, 鈴木 敦2

Takuma AOYAMA1, Daijyu ONO1, Yuka KAWADA1, Takehiro YAMADA1, Keita SUZUKI1, Makoto YAMAURA1, Takahisa IDO1, Shigekiyo TAKAHASHI1, Aoi ITO2, Atsushi SUZUKI2

1木沢記念病院循環器病センター循環器内科, 2木沢記念病院生理検査部

1Department of Cardiology, Kizawa Memorial Hospital, 2Physiological Laboratory, Kizawa Memorial Hospital

キーワード :

【背景】
心房細動に伴う左心耳内血栓は脳塞栓症を引き起こす大きな問題である.その検出,診断は,時に経胸壁心エコーでは難しいケースも多々ある.今回,経胸壁心エコー及び経食道心エコーにて左心耳内血栓を経時的に観察した.
【症例】
60歳,男性.X年12月に胸部違和感にて近医より,紹介となり,心拍数120/min前後の心房細動,経胸壁心エコーにて,左心耳内に長径15mmの血栓を認めた.精査にて,四肢麻痺等の目立った神経学的所見は認めなかったが,頭部MRIにて左PCA領域に急性期の脳梗塞認め,心原性脳塞栓症(視野欠損認めた.)と診断し,入院加療となった.経食道エコーでも左心耳内血栓を詳細に観察したところ,心耳の底部より,心耳壁に癒着した形態であり,可動性の比較的高く,塞栓源リスクは高いものと判断した.ヘパリン,アピキサバン,ビソプロロール,エダラボンにて加療開始.経胸壁心エコーにて,第1病日,第6病日,第8病日,第10病日,第13病日と2週間経時的に心耳内血栓の詳細な観察を行った(図).血栓は,100%→75%→44%→25%→0%と縮小していった.第15病日,経食道エコーにて,左心耳内血栓は消失した事が確認され,退院となった.
【考察・結語】
心原性脳塞栓症は,心房細動罹患患者の増加及び,広範な脳塞栓症にてノックアウト型脳梗塞を発症することが多く,問題となっている.しかしながら,本症例のように目立った神経学的所見に乏しい症例も存在しており,超音波検査による心房内血栓精査が必要である.経胸壁心エコーの画像の経時的な観察は,本症例のように,薬物治療退効果判定を含む治療法の選択に重要となると考えられる.左心耳内血栓の消失までの経時的変化を経胸壁・経食道心エコーにて観察し得た症例であり報告した.