Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑥

(S793)

心エコー図検査時腹部大動脈瘤スクリーニングにて検出し得た腹部リンパ節腫大の2症例

Two Cases of Abdominal Lymph Node Swelling Detected by Abdominal Aortic Aneurysm Screening during Echocardiography

有吉 亨1, 和田 靖明1, 西川 寛子1, 田中 智子1, 藤井 彩乃1, 吉田 大和3, 豊田 紋子3, 奥田 真一2, 田中 伸明3, 矢野 雅文2

Toru ARIYOSI1, Yasuaki WADA1, Hiroko NISHIKAWA1, Tomoko TANAKA1, Ayano FUJII1, Hirokazu YOSHIDA3, Ayako TOYOTA3, Shinichi OKUDA2, Nobuaki TANAKA3, Masafumi YANO2

1山口大学医学部附属病院超音波センター, 2山口大学大学院医学系研究科器官病態内科学, 3山口大学大学院医学系研究科病態検査学

1Ultrasound Examination Center, Yamaguchi University Hospital, 2Department of Medicine and Clinical Science, Yamaguchi University Graduate School of Medicine, 3Department of Clinical Laboratory Science, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

キーワード :

経胸壁心エコー図検査(TTE)で器質的心疾患が指摘されなくても,病態に合わせた他領域のエコー検査を追加することで深部静脈血栓症や甲状腺疾患などの疾患の早期診断が可能となった症例は少なくない.近年,TTE時の腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニング検査の有用性が報告され,TTE時にAAAスクリーニングを施行する施設が増えており,その際にAAA以外の偶発的な病変が指摘される症例も散見される.この度,TTE時AAAスクリーニングを行うことにより腹部リンパ節腫大を指摘し得た2症例を経験したので報告する.
【症例①】
変形性膝関節症術前の62歳女性.心電図,胸部レントゲンおよび血液検査所見に特記すべき異常は見られなかった.TTEでは器質的心疾患を疑う所見は見られなかったが,AAAスクリーニングにて腹部大動脈周囲に15〜20mm大の低エコー類円形腫瘤が複数個指摘され(下図左)悪性リンパ腫やリンパ節転移が疑われた.その後に精査目的にて施行されたCT,FDG-PETで腸間膜リンパ節腫大および悪性リンパ腫に矛盾しない腫瘤内の血管の貫通所見を認めたため精査継続中である.
【症例②】
膠原病精査目的にて当院へ紹介入院となった67女性.抗核抗体および抗Ds-DNA抗体陽性であり筋生検の所見からもSLE・多発筋炎/皮膚筋炎と診断され,肺高血圧および器質的心疾患の除外目的にてTTEが行われた.TTEでは三尖弁逆流から求めた推定肺動脈圧は27mmHgと肺高血圧を疑う所見は見られず,その他に明らかな器質的心疾患は指摘されなかったが,AAAスクリーニング時に肝門部および膵頭部に接する内部エコーが低エコー不均一で一部に微小石灰化を伴う不整形腫瘤が指摘された(下図右).また,胆嚢内には20mm大の音響陰影を伴う胆石を認め,胆嚢壁の不整な壁肥厚も見られ胆嚢癌のリンパ節転移が鑑別診断にあげられた.精査目的にて施行されたCTも同様の所見が見られ,引き続き行われたリンパ節生検により腺癌のリンパ節転移(胆嚢癌リンパ節転移)と診断され治療が開始された.
【結語】
TTE時AAAスクリーニングにおいて腹部動脈の観察に加えて周囲臓器の異常や腫大したリンパ節などに注意することにより,AAAだけでなく様々な疾患の早期診断・早期治療にTTE時AAAスクリーニングが有用であると考えられた.