Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑤

(S790)

急性下壁心筋梗塞に心室瘤と心室中隔穿孔を合併した1例

A Case of Left Ventricular Aneurysm and Ventricular Septal Rupture associated with Acute Inferior Myocardial Infarction

二坂 好美, 前岡 悦子, 小島 祐毅, 清水 由貴, 有吉 彩, 内藤 美和, 佐藤 美砂, 森本 博俊, 湯浅 典博

Yoshimi NISAKA, Etsuko MAEOKA, Yuki KOJIMA, Yuki SHIMIZU, Aya ARIYOSHI, Miwa NAITO, Misa SATO, Hirotoshi MORIMOTO, Norihiro YUASA

名古屋第一赤十字病院検査部

Clinical Laboratory, Japanese Red Cross Nagoya Daiichi Hospital

キーワード :

【はじめに】
心室中隔穿孔は急性心筋梗塞の約1〜2%に発症し,放置すれば急速に血行動態が悪化する予後不良な疾患である.今回,急性下壁心筋梗塞に心室瘤と心室中隔穿孔を合併し,心エコー検査でそれらを指摘し得た1例を経験したので報告する.
【症例】
72歳男性
【主訴】
2週間ほど前からの嘔気・冷汗・前胸部〜左肩部痛・夜間咳嗽
【既往歴】
好酸球副鼻腔炎疑いで両側汎副鼻腔手術を受けている.
【経過】
前医での胸部X線検査で心拡大,肺うっ血および両側胸水を認め,心不全と診断され当院に紹介された.独歩にて来院した際の所見は,血圧100/64mmHg,脈拍数84/min,呼吸数18/min,収縮期雑音を認め,浮腫はなかった.心電図検査では下壁梗塞が疑われ,血液検査データはCRP 0.15 mg/dl,LDH 235 IU/l,CK 72 IU/l,WBC 9200/μl,Hb 13.9 g/dl,BNP 423 pg/ml,Cre 1.42 mg/dlであった.心エコー検査では下壁基部に瘤状の突出を認め,同部位以外の左室壁運動は良好であった.カラードップラーにて瘤内を経由して右室へ交通する短絡血流を認め,心室瘤の形成と心室中隔穿孔が疑われた.心室瘤の左室開口部の直径は約2cm,右室への破裂孔の直径は約0.9cmであった.左室後面に少量の心嚢水を認めたが,有意な僧帽弁逆流はなかった.翌日施行された冠動脈造影では,#2: 90%狭窄,#6: 50%狭窄,#9: 75%狭窄を認めた.右心カテーテル検査では,肺動脈楔入圧は16mmHg,肺動脈圧は48/13(30)mmHg,右室圧は53/2mmHg,右房のSaO2は63.1%,肺動脈のSaO2は86.4%で,右室にて23.3%のSaO2 step upを認めた.シャント率は67.1%,肺体血流量比(Qp/Qs)は3.04であり,急性下壁心筋梗塞に合併した心室中隔穿孔と診断され,同日心室中隔穿孔閉鎖術が施行された.術中経食道エコー検査でも同様の所見が得られた.術後経過は順調で,術後11日で退院した.
【考察】
心室中隔穿孔のリスクファクターとしては,初回梗塞・前壁梗塞・女性・高齢者などが挙げられる.下壁梗塞に合併した症例の予後は不良で,独歩で来院し救命できた本症例は貴重である.心筋梗塞による心室瘤の形成と瘤内を経由した右室への交通を認めた症例の本邦報告はわれわれが調べ得た限りでは10例のみであり,部位は下壁が6例で,心室瘤は偽性仮性心室瘤と考えられるものが7例であった.10例中9例で心エコー検査にて心室瘤の形成と心室中隔穿孔が指摘されている.