Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑤

(S788)

中一検診で発見されたCoAの一例.DAo flow patternスクリーニングの重要性について

Diagnosed as simple CoA case picked up in junior high school heart examination. Usefulness and importance of DAo flow pattern screening

西澤 崇1, 柳 貞光2, 郡 建男1, 佐藤 厚夫1, 城 裕之1

Takashi NISHIZAWA1, Sadamitsu YANAGI2, Takeo KORI1, Atsuo SATO1, Hiroyuki SHIRO1

1横浜労災病院小児科, 2神奈川県立こども医療センター循環器内科

1Pediatrics, Yokohama Rosai Hosipital, 2Pediatric Cardiology, Kanagawa Children’s Medical Center

キーワード :

【はじめに】
単純型大動脈縮窄症(CoA)は,無症候性に経過し高血圧にて発見される事がある疾患である.今回学校検診にて不完全右脚ブロック,V1-V4陰性T波の所見より,心房中隔欠損症(ASD)などの右心系容量負荷を伴う先天性心疾患を疑った症例に対し,心エコー検査にて診断が確定した症例を経験した.
【症例】
12歳男児.これまでに心疾患の指摘なし.小学校1年時の学校心臓検診で異常指摘なし.生活・運動歴 小学生時サッカー週一回.中学入学後軟式テニス部所属,毎日600m走行している.時々足の痺れ,冷感自覚有,爬行の既往なし.家族歴特記すべき事なし.身長152cm体重38kg 血圧:右手160/87mmHg,左手150/80mmHg聴診:背部に収縮期雑音Levine II/VI聴取.左胸郭突出,胸骨部の相対的陥凹有.胸部X-ray: CTR=56%肺鬱血なし.心電図 NSR70bpm, QRS軸50度,V1 rsR’pattern+, V1-V4陰性T V1P陰性〜二相性.心エコー/初回スクリーニング: SDN, RVp<<LVp, LVIDd=37mm, IVSd=8.0mm, LVPwd=11mm, LVFS=0.49,AR mild-moderate+, ASD(-), PV return正常.確認エコー:腹部下行大動脈flow pattern: CoA pattern有り.傍胸骨左縁からの走査にてisthmus部の狭窄を確認,流速4m/s overを確認.下肢血圧測定したところ78/40mmHgであり上下肢血圧差を確認.CoAの診断を確定した.
【経過】
外科的治療のため小児専門医療機関へ紹介転医となる.転医先にてMDCT撮像を行い,severe CoAの診断確定.手術適応ありと判断.予定手術の方針.
【考察】
本症例の心電図異常はCoAによるものではなく,胸隔変形により漏斗胸の心電図と同様の所見が揃ったと考えられた.実測の血圧にて上下肢圧格差70〜80mmHgがあり,X-ray上の心陰影拡大,心エコー検査上左室壁厚8-11mmとhypertrophyを確認したが,心電図上は明らかなLVH patternを示さなかった.心電図所見のみからは,CoAの存在予測は困難であった.初回技師によるスクリーニングエコーにて腹部下行大動脈のflow patternはチェックされていなかった.II度の大動脈弁閉鎖不全が存在するため,reversed flowの程度を確認すれば初回スクリーニングで発見された可能性が高かったと考えられた.ASD・肺静脈還流異常の有無の確認のみで精査を終えてしまった事は今後の反省点として挙げられる.
【結論】
心疾患スクリーニングの際に,先天性心疾患を鑑別に挙げる際は,腹部下行大動脈のflow patternを確認する事が肝要である.