Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器④

(S787)

遠隔期に機械的溶血を発症し弁置換術を施行した僧帽弁形成術後の一例

A Case of Mitral Valve Replacement in a Patient with Very Late Mechanical Hemolytic Anemia after Mitral Valve Repair

井手本 明子, 安部 晴彦, 西田 博毅, 篠内 和也, 三浦 弘之, 小出 雅雄, 伊達 基郎, 上田 恭敬, 是恒 之宏, 楠岡 英雄

Akiko IDEMOTO, Haruhiko ABE, Hiroki NISHIDA, Kazuya SHINOUCHI, Hiroyuki MIURA, Masao KOIDE, Motoo DATE, Yasunori UEDA, Yukihiro KORETSUNE, Hideo KUSUOKA

国立病院機構大阪医療センター循環器内科

Division of Cardiology, Osaka National Hospital

キーワード :

症例は48歳男性.2003年12月,僧帽弁の前後尖の逸脱,後尖の腱索断裂による閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術を施行.前後尖共に人工腱索を移植し,Cosgrove Edwards ring(30 mm)による弁輪形成術を行った.術後より経胸壁心エコー図検査で軽度僧帽弁逆流を認めていたが,術後は貧血進行なく経過していた.2009年頃より溶血性貧血を認めるようになり緩徐に貧血が進行,徐々に僧帽弁逆流も増悪した.2015年7月,血液検査でHb 7.7 b/dL,LDH 1749 U/L,総ビリルビン2.4 mg/dL(間接ビリルビン1.8 mg/dL)と貧血著明にて,同年8月,溶血性貧血の原因精査および僧帽弁逆流の評価のため入院.貧血については血液疾患や自己免疫性疾患,感染や薬剤性などによる二次性の溶血も鑑別に各種検査を行ったが,いずれも否定的であった.そのため,溶血性貧血は僧帽弁逆流に伴う機械的溶血の可能性が高いと考えた.僧帽弁逆流は経胸壁心エコー図検査および経食道心エコー図検査で評価した.逆流は僧帽弁中央から中等度以上認め,逆流の成因は後尖短縮により前尖の接合部が弁輪近くにずれているためと考えた.機械的溶血を来し得るような異常逆流は認めず,また逆流ジェットの人工弁輪への衝突も確認困難であった.心不全症状はないが,僧帽弁逆流は中等度以上あり,溶血性貧血の原因は僧帽弁逆流に伴う機械的溶血以外に指摘し得るものはないため,再手術を行う方針とした.手術所見では,弁尖に器質的変化は認めないが,後尖のP2基部を主とした硬化を認め,後尖全体が短縮していた.それにより逆流ジェットが左房後壁方向に生じ,P2付近の人工弁輪および結紮糸に衝突して機械的溶血を来していたと考えられた.人工弁(ATS(31 mm))を植え込み,術後,溶血性貧血は改善し,術三週間後の血液検査ではHb 12.0 b/dL,LDH 181 U/L,総ビリルビン0.4 mg/dLであった.僧帽弁形成術後急性期に同様の機序により機械的溶血を来す報告は多いが,本症例のように僧帽弁形成術後5年以上の遠隔期に僧帽弁逆流ジェットが弁輪と衝突することによって機械的溶血性貧血を認める報告は少なく,内科的二次性溶血性貧血との鑑別を要したので報告する.