Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器①

(S777)

高度房室ブロックに伴う広範囲な感染性心内膜炎の一例

Widely spreaded infective endocarditis with advanced atrioventricular block

相良 明日香1, 桑木 恒2, 織方 愛1, 菅谷 敢1, 竹村 夏子1, 内田 由宇1, 竹田 光男2, 尾崎 健2, 尾田 知之2, 氏野 経士2

Asuka SAGARA1, Hiroshi KUWAKI2, Ai OGATA1, Susumu SUGATANI1, Natsuko TAKEMURA1, Yuu UCHIDA1, Mitsuo TAKEDA2, Takeshi OZAKI2, Tomoyuki ODA2, Keiji UJINO2

1富永病院臨床検査科, 2富永病院循環器科

1Department of Clinical Laboratory, Tominaga Hospital, 2Department of Cardiology, Tominaga Hospital

キーワード :

症例は50歳男性.以前より他院にて高血圧,大動脈二尖弁による重度大動脈弁閉鎖不全症を指摘されていた.大動脈弁閉鎖不全症については手術適応であり,精査を勧められていたが,本人が拒否していた.2015年6月12日に発熱を認め,近医受診.抗生剤内服にて改善したが,同年7月6日に再度発熱を認め,再度抗生剤内服するも解熱せず7月13日未明に起座呼吸を認め,近医受診となる.うっ血性心不全,感染性心内膜炎疑いにて当院紹介入院となる.
血圧:149/41mmHg,体温:37.9℃,血液検査にてWBC:14190 mm3,CRP:7.12mg/dl,BNP:1044pg/mlと上昇を認めた.心電図は高度房室ブロックを呈し,心拍数は64/分であった.胸部レントゲン写真にて軽度肺うっ血を認めた.経胸壁心エコー図検査を施行したところ,大動脈弁の無冠尖と両心房内に付着する疣腫を認め,重度大動脈弁閉鎖不全症を認めた.感染性心内膜炎を疑う所見を認めたため,経食道心エコー図検査にて精査を行った.大動脈弁は破壊され,無冠尖に付着する疣腫を認め,無冠尖基部は膿瘍形成しており膜性中隔を介して炎症が両心房に波及して両心房内に膿瘍と考えられる低輝度エコーmassを認めた.無冠尖から三尖弁方向への膿瘍及び炎症の波及より房室伝道路が障害され房室ブロックが形成されたと考えられた.手術目的のため他院紹介となり,2015年7月15日に大動脈弁置換術,僧帽弁置換術,中隔・弁輪形成術を施行された.術後,完全房室ブロックを認めたため,同年8月17日に永久ペースメーカー植え込み術を施行され,経過良好で退院となった.
今回,広範囲に感染兆候を認める感染性心内膜炎の症例を認めたため報告する.