Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
その他

(S760)

車軸・車輻アンケート結果から考える画像用語のあるべき姿

How the image diagnostic terms should be in veiw of the questionnaire survey

太田 智行, 中田 典生, 西岡 真樹子, 福田 国彦

Tomoyuki OHTA, Norio NAKATA, Makiko NISHIOKA, Kunihiko FUKUDA

東京慈恵会医科大学放射線医学講座

Radiology, The Jikei Unversity School of Medicine

キーワード :

“車軸状”という用語は肝臓のFNHや腎臓のオンコサイトーマ,形質細胞の核構造などを表現する用語としてこれまで広く用いられてきたが,ここ数年,車軸ではなく“車輻”が正しい表現であるという意見に遭遇する機会が増加していた.昨年,この件は超音波医学会の用語診断基準委員会でも議題となり,結局FNHの血管構築形態は“spoked wheel pattern”という用語で表現することが推奨されるということになった.車軸や車輻の言葉からどんな形態を想起されるのか調査する目的で155名に上記用語に関するアンケートを行い149名(96%)から有効回答を得たので紹介する.
【対象】
回答者149名は62名(41.6%)の臨床検査技師,45名(30.2%)の臨床放射線技師,30名(20.1%)の画像診断医,12名(8.1%)の臨床医(消化器内科11名,救急医1名)からなり,実務経験では5年未満が27名(18.1%),5年以上10年未満が37名(24.8%),10年以上15年未満が32名(21.5%),15年以上20年未満が15名(10.1%),20年以上が35名(23.5%).回答者は何かしら超音波検査に携わった経験のあるものに限った.
【方法】
パワーポイントによるプレゼンテーションを見ながらの対面方式.
【結果】
出題者が想定した画像はA車輪像,B車軸長軸像,C車輻像,D車軸短軸像の4種だが,E想起できない,または,わからない という選択肢も用意した.“車軸”から想起された像はD64名(43%),A51名(34.2%)と中心から放射状に直線が配列する像として想起されることが多い.“車輻”からはE67名(45%),B30名(20.1%)が多く,車輻を放射状配列像として想起している人は少数であった.また,FNHの超音波造影画像を形容する用語としてはspoked wheel pattern 59名(40%),車軸状40名(26.8%)が多く選ばれた.
【考察】
車軸はFNHの中心から放射状に伸びる血管形態を適切に想起させているものの,車軸を放射状直線構造として選択したD64名中22名,A51名中28名はFNHの血管形態画像を最終的にはspoked wheel patternとした.車軸という用語は意図する形態を効果的に想起させているものの,その他により適切な用語があると考えられているようであった.“車輻”は用語そのものが知られていない場合が多く,画像診断用語としては不適切な印象を受けた.
【結語】
画像用語は,万人が同じ概念で捉えている言葉が使用されることが望ましいと思われた.また,車軸は,厳密に単独で想起することは難しく,車輪と不可分な一つの総体として捉えられており,同時に想起される輻(スポーク)の部分が形状想起に利用されていると推測された.