Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
血管 血管②

(S733)

ヒト頸動脈壁内腔側表面粗さの超音波微小変位計測における推定誤差抑制に関する研究

Study on Suppression of Estimated Error in Ultrasound Micro-Displacement Measurement of Luminal Surface Roughness of Human Carotid Artery

木所 一祥2, 瀧 宏文1, 2, 金井 浩1, 2

Kazuyoshi KIDOKORO2, Hirofumi TAKI1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院工学研究科電子工学専攻, 2東北大学大学院医工学研究科医工学専攻

1Dept of Electronic Eng., Graduate School of Eng., Tohoku University, 2Dept of Biomedical Eng., Graduate School of Biomedical Eng., Tohoku University

キーワード :

【はじめに】
脳卒中や心臓発作といった循環器系疾患の主因は動脈硬化症と考えられており,そのため,動脈硬化症を早期段階で診断することは,これらの予防において有用である.動脈硬化症の極早期段階において,内弾性板と内皮細胞に損傷が生じ,血管内腔側表面が粗くなることが報告されている[1].しかし,血管表面に発生する粗さは内皮細胞の厚さ程度(10-20μm)と考えられ,従来の超音波断層像(空間分解能:約150μm)では観察出来ない.本報告では,位相差トラッキング法[2]を用いた高空間分解能計測と,トラッキング時に発生する誤差の抑制により,血管表面形状を高精度に推定する手法を提案する.
【方法】
近年,頸動脈が心臓の収縮により心臓方向に引っ張られ,血管長軸方向に移動するという現象が観察された.本研究グループは,この現象を用いて超音波ビームを固定したまま頸動脈を相対的に走査することで,皮膚-血管前壁間の音速不均一領域による計測誤差を抑制しつつ表面粗さを計測する手法を開発した[3].しかし,この手法は血管が急速に拡張する時相も計測しており,この時相において計測誤差が発生していた.そこで,血管拡張を除いた時相のみを計測することで,より高精度かつ誤差の少ない表面形状推定を可能とした.
20代健常者3名(若年群)と50歳以上の健常者3名(高年齢群)を対象に,頸動脈をリニアプローブ(7.5 MHz)により計測し,本手法により表面形状を推定した.また,得られた表面形状の移動平均結果を血管概形とし,血管概形からのばらつきを求めることで血管粗さを定量的に評価した.
【結果】
各被験者における超音波断層像と推定表面形状を示す.2回の計測における推定表面形状間の相関値は高く,本手法の再現性を確認できた.若年群と高年齢群における表面粗さの平均値はそれぞれ1.53μm,2.57μmとなった.加齢により血管表面が粗くなると考えられるため,本手法の妥当性を示すことが出来た.
【結論】
本研究において,血管壁の急速変位による推定誤差を抑制することで,血管内腔表面の微小粗さを高精度に計測する手法を提案した.本手法による血管表面粗さ計測により,動脈硬化症の超早期診断の可能性が示唆される.
【参考文献】
[1]E. Sho, et al., Exp. Mol. Pathol. 73,142(2002).
[2]H. Kanai, et al., IEEE Trans on UFFC 43,791(1996).
[3]M. Cinthio, et al., IEEE Trans on UFFC 58,853(2011).