Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 スクリーニング

(S721)

当院における胎児超音波スクリーニング検査の成績

Fetal ultrasound screening test annual reports by a private clinic

関原 真紀1, 中田 雅彦2, 川上 裕一3, 松田 秀雄3

Maki SEKIHARA1, Masahiko NAKATA2, Yuichi KAWAKAMI3, Hideo MATSUDA3

1松田母子クリニック検査科, 2東邦大学医療センター大森病院産婦人科, 3松田母子クリニック産婦人科

1Clinical Laboratory, Matsuda Perinatal Clinic, 2Department of Obsterics and Gynecology, Toho University Omori Medical Center, 3Obsterics, Matsuda Perinatal Clinic

キーワード :

【目的】
当院での胎児超音波スクリーニング検査は超音波検査士が担当し施行している.今回,胎児超音波スクリーニングの現状と課題を明らかにすることを目的として,データを後方視的に検討した.
【方法】
2010年4月から2015年11月にスクリーニングを実施した妊婦のうち,胎内診断または出生後の確定診断が追跡できた2246例について成績を検討した.当院でのスクリーニングの対象週数は,妊娠20週前後と30週前後の2回としている.使用機器はGE社VOLSON E6を用い,中心周波数3.4MHzのコンベックスプローブで観察した.検査結果は,観察項目を列挙したチェックシートを作成し,所見なし・再確認・要精査のいずれかを医師に報告した.胎位の影響などにより観察が困難な場合はレポートにその旨を記載し,医師による妊婦健診時に再確認を依頼した.さらに,30週のスクリーニング検査時にも再確認をした.検査項目は,ISUOGのガイドラインに沿って,頭部,胸部,腹部,四肢,羊水,胎盤の順に観察した.頭部の観察項目は,頭蓋骨,透明中隔,正中鎌,視床,側脳室,小脳,後頭蓋窩とした.胸部は,腫瘤の有無,胸郭の形態・大きさ,肺の大きさ,横隔膜とした.心臓の観察項目は,四腔断面,流出路,流入路とした.具体的に,妊娠20週では,四腔断面,流出路,大動脈弓を観察し,妊娠30週では四腔断面,流出路,流入路を観察した.腹部は,胃胞,肝臓,腎臓,膀胱を確認した.
【結果】
超音波スクリーニング検査で要精査とし,出生後に確定診断された疾患は,28疾患だった.その内訳は,頭部では,Dandy-Walkers症候群1例,Dandy-Walkers異形1例,口唇裂2例の4例だった.胸部では,ファロー四徴症1例,両大血管右室起始症2例,大動脈蛇行症1例,心室中隔欠損症1例,心房中隔欠損症1例,大動脈縮窄症1例,完全大血管転位症1例,大動脈離断症1例,総肺静脈還流異常症1例,血管輪1例,左上大静脈遺残1例の12例だった.腹部では,多嚢胞性異形成腎2例,水腎症1例,臍帯静脈瘤1例,完全内臓逆位1例,食道閉鎖1例,回腸閉鎖1例の7例だった.その他,内反足1例,単一臍帯動脈3例,羊水過多症1例を認めた.スクリーニング検査では所見なしの判定とし,出生後に診断された疾患は,総肺静脈還流異常症1例,心房心室中隔欠損症1例,左尺側列形成不全症1例,心室中隔欠損症10例だった.総じて,41例中28例(68.3%)の胎児疾患のスクリーニングが真陽性であり,13例(31.7%)は偽陰性だった.偽陰性となった総肺静脈還流異常症の一例の画像を再検討したところ,左房壁と下行大動脈の間が拡大していた.左尺側列形成不全では,四肢遠位骨の確認を行っていなかったため検出できなかった.
【考察】
妊娠20週と30週に胎児スクリーニングを行うことで,出生後明らかな疾患を指摘された41例中28例(68.3%)については胎児期に異常を疑うことが可能であった.ISUOGのガイドラインに則ったスクリーニングは,超音波検査士か遂行する上で有用であると思われた.しかし,出生後,緊急で医療介入が必要である総肺静脈還流異常症の発見については,更にスクリーニングの精度を上昇させることが必要であると痛感した.さらに,心室中隔欠損症など,出生後必ずしも緊急の対応が必要ではない疾患のスクリーニング精度を向上させるためには,スクリーニング方法の改善が必要と思われた.