Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 新画像

(S716)

Dual Dopplerによる胎児の脈波速度評価の試み

The estimation of pulse wave speed of the fetus with the use of dual Doppler system

瀬戸 理玄, 梁 栄治, 森田 政義, 鎌田 英男, 櫻井 理奈, 比嘉 貴子, 松本 泰弘, 木戸 浩一郎, 綾部 琢哉

Michiharu SETO, Eiji RYO, Masayoshi MORITA, Hideo KAMATA, Rina SAKURAI, Takako HIGA, Yasuhiro MATSUMOTO, Koichiro KIDO, Takuya AYABE

帝京大学医学部付属病院産婦人科学講座

OB&GY, Teikyo University Hospital

キーワード :

【目的】
脈圧は,脈波の伝播速度と相関がある.宮下らは,位相差トラッキング法を用いた脈波伝播速度の測定により,胎児の血圧を推定している1).我々は,市販の超音波機器(Hitachi HI VISION Preirus)で使用可能なdual Doppler法を用いて,胎児の脈波が伝播する時間を測定し,胎児循環の新たな指標となる可能性を検討した.
【対象】
当院に入院中の単胎妊娠症例を対象とした.結果的に正常妊娠分娩経過となり,新生児経過にも異常を認めなかった症例22例,33回の検査結果を検討した.
【方法】
1.胎児の腹部大動脈に直行し,腹壁臍帯付着部位の高さの横断面を描出する.
2.Dual Dopplerを用いて1つの測定部位を胎児の腹部大動脈に,もう一方を腹壁臍帯付着部位の臍帯動脈に設定する.
3.上記2か所のドプラ波形を同時に記録し,それぞれの動脈血流波形が開始する時間差(msec)を測定する.
検討項目:
1.大動脈から内腸骨動脈を経て腹壁の臍帯動脈付着部に至るまでの距離を脈波が伝達するのにかかる時間(pulse wave time: PWT)と,妊娠週数との関連.
2.胎児大腿骨長/脈波の伝達時間(fetal femur length: FL / PWT)を計算し,この比と妊娠週数との関連.
【結果】
1.脈波伝播時間は,妊娠週数に伴う有意の変化を示さなかった(図1).
2.FL / PWTは,妊娠週数とともに増加した(図2).
【考察】
今回実際に臨床で用いることを視野にいれ,検査の簡便性を最重要視して,日常頻繁に測定している胎児腹部の断面を,わずかに足方にずらして2か所の測定部位を設定した.さらに,対象となる血管の長さは直接測定せず,その長さを反映する指標として,ルーチンに測定されている大腿骨長で代用した.その結果,距離/時間すなわち速度に相当する指数が妊娠週数とともに増加することが示された.このことから,脈波の伝播速度は,妊娠週数とともに増加すること推定された.今後,異常例を含め,症例数を重ねて検討を続けたい.
参考文献
1)Miyashita S et al. Ultrasound Med Biol. 2015; 41: 1311-9.