Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 胎児

(S707)

胎児推定体重3500g以上を予測する胎児計測因子の検討

Difficulty of estimation fetal weight over 3,500 grams

長野 宏史, 石田 ゆり

Nagano HIROSHI, Yuri ISHIDA

小張総合病院産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Kobari General Hospital

キーワード :

【緒言】
妊婦健診において胎児推定体重計測を行うことは,胎児発育を確認することで新生児リスクを推測することに関係する.3500g以上の新生児では,出生時の肩甲難産や緊急帝王切開術が必要となる場合,そして出生後の新生児低血糖のリスクが考えられる.今回の検討では,3500g以上で出生となる新生児を予測できる因子を検討した.
【対象と方法】
2012年から2015年12月までの当院において出生した新生児の内,3500g以上で出生した47症例を対象とした.妊婦健診時の超音波計測の因子として胎児腹囲(AC)に注目して,32〜33週と34〜35週における値を検討した.そしてそれぞれの例において,出生後の新生児胸囲も検討した.
【結果】
出生体重が3500g以上となる新生児では,32〜33週におけるAC280mm以上となる症例が多く,34〜35週ではAC300mm以上がほとんどの症例で認められた.39症例では経腟分娩であったが,8症例では緊急帝王切開による分娩の転帰であった.
【考察】
妊娠35週前後から巨大児傾向を疑った場合には,妊娠38週前後に分娩誘発が検討されていた.各々の症例における対応により,難産や緊急帝王切開による分娩を回避できていた可能性が考えられる.
【結語】
妊婦健診において,胎児推定体重が3500g以上では計測誤差が出現するとされている.今回の検討でも,推定体重が500g以上少ない症例が認められた.巨大時傾向を疑う因子として,妊娠32〜33週時の胎児腹囲280mm以上が有用と考えられた.