英文誌(2004-)
一般口演
乳腺 乳腺①
(S687)
乳腺を伝播するせん断波の実時間可視化-新たなせん断波エラストグラフィ-
Realtime visualization of shear wave in breast tissue -A novel shear wave elastography-
山越 芳樹1, 中島 崇仁2, 笠原 世裕1, 山崎 真有子1
Yoshiki YAMAKOSHI1, Takahito NAKAJIMA2, Toshihiro KASAHARA1, Mayuko YAMAZAKI1
1群馬大学理工学府, 2群馬大学大学院医学系研究科
1Graduate School of Science and Technology, Gunma University, 2Graduate School of Medicine, Gunma University
キーワード :
【はじめに】
せん断波による組織硬さの映像法(エラストグラフィ)の代表としてARFI法があるが,乳腺では小型加振器を用いて周波数300Hz程度の連続的なせん断波を乳腺内に励起させ,乳腺内部を伝わるせん断波を可視化する方法でもエラストグラフィを構築できる.このような機械的加振を用いる方法の課題は,せん断波の実時間映像化技術とせん断波を励振する小型加振器であるが,映像法として我々はカラードプラせん断波映像法(Color Doppler Shear wave Imaging: CD SWI)を提案した1).これはエコー装置に付随するカラーフロー画像(CFI)の信号処理を利用して,エコー装置を一切改造することなく組織内を伝播するせん断波を動画像として可視化できる新しい方法である.本稿では,CD SWI法に小型のリニア振動モータ(長さ45mm,重さ30g)を加振器として用いるせん断波エラストグラフィを構築し乳腺の映像化を試みたので報告する.
【方法】
CD SWI法では,せん断波振幅と周波数に関する2つの条件が成立するときにCFI上に推定流速値0と最大の2値画像として,せん断波の波面が自動的に現れる.超音波映像装置としてフィリップスHD11XE(12-3MHzリニアプローブ,ドプラ周波数5MHz)を用いたがフレームレート18Hzのときに周波数296.6Hzのせん断波を可視化できる.4秒ごとにせん断波の映像化を繰り返すので加振器やプローブ位置を変えたときの乳腺内のせん断波の伝播の様子をその場で観測でき,さらにせん断波の波面間隔から伝播速度(弾性率の平方根に比例)が計測できる.
【結果】
IRB承認の下で得た乳腺中を伝播するせん断波の画像例を図に示す.右図がせん断波の位相像であり,せん断波の伝播の波面を色の違いで示している.この例では,乳腺(M)と線維腺腫部(Fi)での伝播速度に有意な差は認められなかった.
【まとめ】
乳腺を伝わる連続的なせん断波を,高フレームレートエコー装置など高価な装置を使わずとも実時間で可視化できるCD SWIエラストグラフィを構築し,乳腺に適用した.
1)Y.Yamakoshi, et al. Ultrasonic Imaging, 37,4,323(2015).