Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝腫瘍:診断②

(S682)

肝細胞癌の分化度診断における造影SMIの有用性

Efficacy of SMI in conjunction with contrast-enhanced ultarasonography for diagnosis of tumor differentiation in hepatocellular carcinoma

宮武 宏和, 詫間 義隆, 岩堂 昭太, 植松 周二, 荒木 康之

Hirokazu MIYATAKE, Yoshitaka TAKUMA, Shouta IWADOU, Shuji UEMATSU, Yasuyuki ARAKI

広島市立広島市民病院内科

Department of Internal Medicine, Hiroshima City Hiroshima Citizens Hospital

キーワード :

【背景】
Superb Micro-Vascular Imaging(SMI)はモーションアーチファクトの特徴を分析し高分解能,高フレームレートでの血流観察を可能にした新たな撮像法である.造影超音波(US)検査時にSMIを併用する造影SMIではさらなる血流感度の向上が期待できる.また,造影US検査時のMFIなどのMIP所見が肝細胞癌(HCC)の分化度診断に有用と報告されている.今回,造影US検査時のMFI撮像時と同様に血管構築像を強調し観察可能である造影SMIについてHCCの分化度診断における有用性について検討した.
【対象・方法】
当院でHCCを疑い造影SMIを施行し切除又は肝生検にて組織診断をしえた11例について造影US及び造影SMI所見からの分化度診断と病理組織所見について比較検討を行った.超音波装置はTOSHIBA aplio500,造影SMIは通常の造影超音波施行後のre-injectionにて施行しMI値0.5,flame rate 50fpsで行った.造影SMIでの分化度診断には,田中ら(J Gastroenterol. 2014)による造影USでのKupffer相(hypo, iso)と造影MFIでの腫瘍内血管構築像により分化度診断を行った.造影MFIでの腫瘍内血管構築像の分類は,①微細均一な脈管のみ“Fine”,②腫瘍血管を認識できる“Vascular”,③太い腫瘍血管を含み不規則な形態を呈す“Irregular”の3パターンとした.
【結果】
11例の組織学的分化度は,悪性所見なし4例,高分化型HCC 2例,中分化型HCC5例であった.造影SMIの血管構築分類ではFine 5例,Vascular 5例,Irregular 1例であり,Vascular, Irregularと診断した6例の後血管相所見はすべてhypoであり,この6例を中分化型HCCと診断した(Irregularについては低分化含有の可能性を考えた).このうち1例では中分化型HCCのうち1例は肝生検では悪性所見が得られなかったが,5例で組織学的に中分化型HCCと診断した.また,造影SMIでの血管構築所見が肝生検での病理組織診断と解離した症例も経験した.同症例では,造影SMIの血管構築分類でVascularであり,中分化型HCCを強く疑ったが肝生検では高分化型HCCとの診断であった.最終的に,切除により組織学的に中分化型HCCと診断した.
【結語】
造影SMIでの腫瘍内血管構築分類に基づくHCCの診断は,非侵襲的なHCCの分化度診断法として有用であった.