Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 診断・血流

(S670)

腹部領域におけるSMI(Superb Micro-vascular Imaging)

Effectiveness of SM I(Superb Micro-vascular Imaging)in abdominal field

森 秀明1, 西川 かおり1, 塚田 幾太郎1, 關 里和1, 小榑 二世1, 本田 普久1, 峯 佳毅1, 岸野 智則2, 贄田 真由美3

Hideaki MORI1, Kaori NISHIKAWA1, Ikutarou TSUKADA1, Satowa SEKI1, Kazutoki KOGURE1, Yukihisa HONDA1, Yoshitake MINE1, Tomonori KISHINO2, Mayumi NIEDA3

1杏林大学医学部第三内科, 2杏林大学保健学部臨床工学科, 3東芝メディカルシステムズ株式会社西東京支店

1The Third Department of Internal Medicine, Kyorin University School of Medicine, 2Department of Clinical Engineering, Kyorin University Faculty of Health Sciences, 3Nishitokyo, Toshiba Medical Systems Co.,Ltd.

キーワード :

【目的】
ドプラ法は非侵襲的に血流の評価が可能なため,日常臨床の場においても広く用いられている.ドプラ法の利点としては超音波造影剤を用いなくてもリアルタイムに血流を可視化できること,さらに血流の方向を確認できることなどがあげられる.一方,問題点としてはドプラ検査を行うための設定条件が適切でないと正しい血流情報が得られないこと,微細で低流速な腫瘍血流や病変が深部に存在する例では感度の限界があり,本来は豊富な血流があるにもかかわらず血流シグナルを検出できない場合などが指摘されてきた.このため腫瘤などの低流速な血流を検出する際は一般的に流速レンジを低く設定する必要があるが,その結果,モーションアーチファクトの影響を受けやすくなり,かえって血流の評価が困難になるといった問題点が指摘されてきた.
今回,東芝メディカルシステムズ株式会社で開発されたモーションアーチファクトを低減させながら,かつ高フレームレートで低流速の血流の視認性を向上させることができるSMI(Superb Micro-vascular Imaging)を用いてその有用性につき検討した.
【使用装置と方法】
使用装置と探触子は東芝メディカルシステムズ社製Aplio500で,探触子はPVT-375BTコンベックス型プローブを用いて,カラードプラ,ワイドバンドドプラおよびSMIを用いて腹部領域の血流を観察した.SMIにはカラー表示されるcSMI(color coded SMI)とモノクロ表示のmSMI(monochrome SMI)の2つのモードがあり,両モードで観察した.
また,1Dアレイと同じPVT-375BTプローブでスライス方向に煽り走査もしくはスイープ走査を行いながらイメージメモリに収集した画像を,指定した煽り角度もしくはスイープ幅の3次元画像に再構成して表示するSmart 3D機能を用いてSMIの3次元画像を作成した.さらに超音波造影剤を用いたSMI画像についても検討した.
【結果】
1)SMIではカラードプラやワイドバンドドプラと比べてモーションアーチファクトが低減され,アーチファクトの少ない血流画像が得られた.特に心拍動の影響を低減させることができた.
2)SMIではカラードプラやワイドバンドドプラと比べて肝内門脈肝静脈シャントなどの血管の視認性が向上した.また微細で低流速な腫瘍血流の描出能も向上した.
3)ソナゾイド®を用いた造影超音波検査では肝腫瘤の血流情報が長時間にわたって観察された.またcSMI表示を用いた造影超音波検査では血流を背景の臓器に重ねて表示できるため,明瞭に病変部と非病変部の対比が可能であった.
4)SMIを用いた3次元画像では肝や腎などの臓器や腫瘍内の血管構築が明瞭に描出された.
【考察・結論】
SMIを用いると心拍動の影響が低減され,低流速血流を示す肝腫瘤などの微細な血流が観察可能であった.また造影SMIやSmart 3Dを併用するとより詳細な血管構築の観察が可能であった.