Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝腫瘍:治療②

(S661)

肝細胞癌に対するミリプラチン水和物治療を用いたカテーテル治療の治療効果判定の検討

Examination of a response evaluation of the transarterial embolization using Miriplatin to hepatocellular carcinoma

渡邊 幸信, 小川 眞広, 林田 まり子, 平山 みどり, 高安 賢太郎, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 松本 直樹, 中河原 浩史, 森山 光彦

Yukinobu WATANABE, Masahiro OGAWA, Mariko HAYASHIDA, Midori HIRAYAMA, Kentaro TAKAYASU, Takao MIURA, Katsuhiko SHIOZAWA, Naoki MATSUMOTO, Hiroshi NAKAGAWARA, Mitsuhiko MORIYAMA

日本大学病院消化器内科

Gastroenterology, Nihon University Hospital

キーワード :

【はじめに】
これまで我々は,本会において肝動脈化学塞栓療法に対する治療効果判定として造影超音波検査の有用性を発表している.肝動脈化学塞栓療法においては,造影超音波検査は他の検査法と比較し,血流感度が高いのみではなく,リピオドールの影響を受けないため,早期の治療効果判定に有用である.特に感度が高く少量の血流も捉えられる点が有用であった.しかし,その後複数の薬剤の出現により使用薬剤による評価方法の差異を経験するようになっている.そこで今回ミリプラ水和物を用いた治療の特殊性について検討したので報告をする.
【方法】
当院において肝細胞癌に対して手術およびラジオ波熱凝固療法などの局所療法の適応外と診断され,ミリプラチン水和物を用いたカテーテル治療を施行した症例で治療1ヶ月後に造影CTを用いた治療効果判定を施行し肝癌治療効果判定(2015年改定版)において標準的結節治療効果度TE4の評価が得られた76結節を対象とした.これらの対象症例の治療翌日,および治療1ヶ月後に造影超音波検査の動脈優位相連続送信で腫瘍濃染の残存を確認した症例をCEUS-A群とし,門脈優位相でHigh MIの間歇送信を用いて腫瘍内部の造影剤の残存を確認した症例をCEUS-P群として評価した.尚,追加治療の適応は,治療効果判定において造影CT動脈優位相と造影超音波検査の動脈優位相連続送信で腫瘍内部に造影効果を認めた場合とし,解離症例の場合には経過観察とした.経過観察は3〜4ヶ月ごとに同様の評価を行った.治療効果判定については,標準的結節治療効果度を用い評価を行った.使用装置:GEヘルスケア社製LOGIQ E9,使用探触子C1-6,9L
【結果】
治療翌日の造影超音波検査では,CEUS-A群 7.9%(6/76),CEUS-P群5.2%(4/76)であった.治療1ヶ月後のCEUS-A群 0%(0/76),CEUS-P群5.2%(4/76)であった.CEUS-P群については厳重な経過観察を行ったが,いずれの結節においても追加治療は6ヵ月以上必要なかった.
【考察】
ミリプラチン水和物は,親油性のプラチナ製剤であり,粒子径が非常に小さいことからリピオドールに懸濁しやすく,リピオドールと共に腫瘍内に長時間滞留し,徐放され抗腫瘍効果を発揮する特徴の薬剤である1).今回の検討でも,CEUS-P群のようなわずかな血流の残存の場合には急な追加治療が必要でない症例が確認でき同薬剤の特殊性が示唆された.最長で2年以上も同じ状態で追加治療を必要で無い結節も存在し,本症例の治療適応となる症例が局所療法の適応外となった症例が多いことより,局所のコントロールとしては臨床的にはCR症例とほぼ同等として扱って良いと考えられる.CEUS-A群では治療翌日と治療1ヵ月後で差を認めたが,その多くは腫瘍の境界域の血流を残存血流と捉えたことが原因であった.造影超音波検査は,その優れた空間分解能,血流感度のために,治療直後に生じた腫瘍周辺の炎症性変化や血流変化を鋭敏に描出してしまうため,治療効果判定時に境界域にのみ血流を認めた際には注意が必要と考えられた.
【結論】
造影超音波検査は肝動脈塞栓療法に対する治療効果判定としては有用な手法であると考えるが徐放効果のある薬剤を使用した場合には注意が必要である.
参考文献
1)Hanada M et.al.Cancer Chemother Pharamacol 64(3):473-83,2009