Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化④

(S658)

当院におけるFontan術後肝合併症(FALD)の現状と非侵襲的肝硬度測定の有用性

Noninvasive assessment of liver fibrosis in patients with Fontan circulation using elastography

小泉 洋平1, 広岡 昌史1, 今井 祐輔1, 中村 由子1, 石原 暢1, 徳本 良雄1, 古川 慎哉2, 熊木 天児3, 阿部 雅則1, 日浅 陽一1

Yohei KOIZUMI1, Masashi HIROOKA1, Yuusuke IMAI1, Yoshiko NAKAMURA1, Tooru ISHIHARA1, Yoshio TOKUMOTO1, Shinnya FURUKAWA2, Teru KUMAGI3, Masanori ABE1, Yoichi HIASA1

1愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学, 2愛媛大学大学院疫学・予防医学, 3愛媛大学大学院地域医療学

1Departments of Gastroenterology and Metabology, Ehime University Graduate School of Medicine, 2Department of Epidemiology and Preventive Medicine, Ehime University Graduate School of Medicine, 3Departments of Community Medicine, Ehime University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
Fontan術後長期経過観察中にFontan循環により肝線維化の進展と肝細胞癌の発症をきたすことが報告され,近年Fontan術後肝合併症(FALD)として注目されている.FALDは他の慢性肝疾患同様に肝線維化の進展度を診断することは重要であるが,うっ血肝であるため生検の危険性が高い.このため非侵襲的診断方法による肝線維化診断が重要であるが,FALDにおけるElastographyを用いた線維化診断の報告は少ない.
【目的】
FALD症例においてElastographyを用いた臓器硬度診断と血液学的線維化マーカーの有用性を明らかにする.
【対象と方法】
2012年1月から2015年11月まで当科で肝硬度測定を施行したFontan術後患者20症例を対象とし,全例にReal-time Tissue Elastography(RTE)およびVibration Controlled Transient Elastography(VCTE)を施行した.同意の得られた3例に対しては腹腔鏡下で肝生検を施行した.また,全例で血液学的線維化マーカー(ヒアルロン酸,IV型コラーゲン7s,Mac-2 binding protein(M2BPGi))を測定し,FIB-4とAPRIを算出した.
【結果】
年齢の中央値は24歳,術後経過年数の中央値は15年であった.腹腔鏡下肝生検を施行した3例の年齢は,31歳,33歳,34歳であった.3例とも腹部超音波検査で肝の形態変化がみられ,肝硬変を示唆する所見であった.腹腔鏡で観察した肝の外観は3例とも結節肝の状態であった.肝組織所見は3例とも結節形成がみられ,中心静脈周囲を中心とした線維形成であり,うっ血よる線維化進展に矛盾しない所見であった.全症例のElastic ratioの中央値は3.06,VCTEの中央値は18.5 kPaであった.術後経過15年未満(n=10)と,15年以上(n=10)の2群に分けて肝硬度値を比較したところ,15年以上の群で有意に高かった(P<0.01).腹部超音波所見では,全20例中肝硬変の所見を認めたのは13例(65%)であった.術後経過15年未満の症例では肝の形態変化を認めたのは3例のみで,15年以上の症例では全例に形態変化を認めた.腹腔鏡下肝生検を施行した3例でヒアルロン酸,IV型コラーゲン7s,FIB-4,APRIは線維化進展を示唆する所見では無かった.FIB-4とAPRIに関しては,3例ともトランスアミナーゼおよび血小板数が基準内であったことが影響していると考えられた.一方M2BPGiは3例とも高値であった.術後経過15年未満と15年以上の群において,術後経過15年以上の群の方が,M2BPGiが高い傾向にあった.
【結論】
腹腔鏡を施行した全例で結節肝の所見であり組織診断において肝硬変の所見であった.これらの症例ではElastographyとM2BPGiが組織所見を正しく反映していた.術後長期経過例では肝硬度値が明らかに高く肝硬変の進展や合併症出現,肝発癌に留意する必要がある.