Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 消化管

(S655)

クローン病の終末回腸病変における体外式超音波検査の臨床的有用性の検討

Clinical usefulness of transabdominal ultrasonography in the terminal ileum lesions of Crohn’s disease

島崎 洋1, 北口 一也1, 石本 博基1, 松本 和久1, 宮川 麻希2, 那須野 正尚2, 田中 浩紀2, 本谷 聡2

Hiroshi SHIMAZAKI1, Kazuya KITAGUCHI1, Hiroki ISHIMOTO1, Kazuhisa MATSUMOTO1, Maki MIYAKAWA2, Masanao NASUNO2, Hiroki TANAKA2, Satoshi MOTOYA2

1JA北海道厚生連札幌厚生病院放射線技術科, 2JA北海道厚生連札幌厚生病院IBDセンター

1Radiological Technology Department, Sapporo Kousei Hospital, 2Department of IBD, Sapporo Kousei Hospital

キーワード :

【目的】
クローン病の評価には,内視鏡やX線造影,CTなどあらゆる画像診断が駆使されているが,長い臨床経過で再燃・寛解を繰り返す本疾患の評価には,低侵襲で繰り返し検査が行える手法が求められている.今回,我々はクローン病患者の終末回腸病変に対する体外式超音波(以下US)の病変検出能について検討した.
【方法】
2013年4月から2015年11月の間に,USによる消化管観察が行われ,かつその後7日以内に小腸X線バリウム検査(以下X線)ならびに下部消化管内視鏡検査(以下CS)の両方が施行されたクローン病患者82例を対象とした.終末回腸に限定してUSにて壁肥厚(3mm以上を異常),層構造消失,狭窄,内瘻の有無を評価し,いずれかを認めた場合を「US所見あり」,またX線,CSのいずれかにおいてびらん・アフタ,縦走潰瘍,敷石像,狭窄,内瘻を認めた場合を「X線・CS所見あり」と定義した.X線・CS所見の有無における壁厚の平均値を比較し,さらにUS所見の感度・特異度・陽性反応的中率・陰性反応的中率を検討した.さらに,瘻孔や狭窄所見の描出率についても検討を行った.狭窄の定義はCSにて内視鏡通過不可,またはX線にて口側拡張を伴う病変と定義した.使用機器は東芝社製Aplio400/500,日立アロカ社製Ascendusを用い,終末回腸の評価には高周波リニアプローブを使用した.USの前処置は検査当日から絶飲食とし,下剤や経口腸管洗浄剤は用いていない.
【結果】
平均年齢29.4歳,男性61例・女性21例であった.USによる壁厚の平均値は4.9±1.8mmであり,「X線・CS所見あり」群における壁厚の平均値は5.5±1.7mm,「X線・CS所見なし」群では2.8±0.5mmであり,有意差を認めた(P<0.01).USの感度は95%(62/65例),特異度は71%(12/17例)であり,陽性反応的中率90%(62/69例),陰性反応的中率80%(12/15例)であった.また,X線あるいはCSにて内瘻を認めた5例のうち,USでは3例指摘可能(60%)であり,狭窄は9例中,指摘可能であった症例は2例にとどまっていた(22%).
【結語】
クローン病の終末回腸病変に対するUSの病変検出能は感度95%と良好であり,苦痛が少なく前処置なしに施行することができるUSはクローン病の終末回腸病変の拾い上げに有用である可能性が示唆された.一方,特異度と内瘻・狭窄の描出率は良好とはいえず,US所見で異常が疑われた際には他のモダリティを組み合わせて評価する必要がある.