Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 消化管

(S654)

小児の急性虫垂炎における超音波診断と病期に応じた治療に関する検討

A ultrasonic study of the pediatric acute appendicitis regarding the diagnosis and treatment according to the staging

神保 圭佑1, 2, 京戸 玲子1, 宮田 恵理1, 工藤 孝広1, 東間 未来3, 浅井 宣美4, 連 利博3, 山高 篤行5, 清水 俊明1

Keisuke JIMBO1, 2, Reiko KYOUDO1, Eri MIYATA1, Takahiro KUDO1, Miki TOUMA3, Nobuyoshi ASAI4, Toshihiro MURAJI3, Atsuyuki YAMATAKA5, Toshiaki SHIMIZU1

1順天堂大学小児科, 2越谷市立病院小児科, 3茨城県立こども病院小児外科, 4茨城県立こども病院超音波診断室, 5順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科

1Department of Pediatrics, Juntendo University Faculty of Medicine, 2Department of Pediatirics, Koshigaya Municipal Hospital, 3Department of Pediatric Surgery, Ibaraki Children’s Hospital, 4Department of Ultrasonic Diagnosis, Ibaraki Children’s Hospital, 5Department of General and Urogenital Pediatric Surgery, Juntendo University Faculty of Medicine

キーワード :

【はじめに】
小児の急性虫垂炎は腹部超音波検査による単独診断が可能だが,理学的所見や血清学的検査による重症度評価,管理,および手術適応の判断は容易ではない.近年,成人領域のみならず小児領域においても急性虫垂炎の内科治療の有効性に関する報告が示されている.我々は急性虫垂炎の診断と病期分類を腹部超音波検査により行い,急性期の病期分類に応じた内科治療方針を作成し管理を行っている.今回,我々は2013年2月から2015年12月までに経験した急性虫垂炎の小児82例(10.3±3.1歳)の詳細を検討した.
【方法】
①腹部超音波上の虫垂径が6mm以上で他の消化管に肥厚がなく,かつ超音波で描出した虫垂を探触子で圧迫することで圧痛を生じたものを急性虫垂炎と診断した.
②虫垂壁の層構造とドップラー血流からGradeⅠ,Ⅱa,Ⅱb,Ⅲの4群に病期分類し,GradeⅠとⅡaは補液と抗菌薬による内科治療を行い,ⅡbとⅢは外科管理とした.(虫垂に部位ごとに病期が異なる場合はⅠ-Ⅱa,Ⅱa-Ⅱb,Ⅱb-Ⅲのような中間群も設定した.)
③急性虫垂炎82例のうち,補液と抗菌薬による内科治療を行ったGradeⅠからⅡa-bの72例について,当科の治療方針の妥当性を検討した.
④内科治療を行った72例のうち,初発時の腹部超音波所見で糞石のみがみられた症例(6例),虫垂の閉塞機転のみが疑われた(虫垂の蛇行,内腔拡張,および粘膜下層の肥厚など)症例(23例),およびその両者がみられた症例(16例)それぞれにおける急性虫垂炎の再発率について検討した.
⑤内科治療後に,急性虫垂炎の再発なく家族希望による待機的虫垂切除術を行った症例,あるいは再発後に待機的虫垂切除術を行った症例両者(計24例)の初発時の腹部超音波所見と虫垂の切除切片における病理像を比較検討した.
【結果】
①入院1病日から内科治療を行った72例中71例(98.6%)は入院2病日の腹部超音波検査の再検で病期の進行を認めなかったことから,我々の虫垂炎の管理方針は既報と比べても遜色ない成績と考えられた.
②内科治療のみで退院した71例中14例(19.7%)に観察期間中の再発がみられた.糞石単独での再発例はみられず,閉塞機転単独例では23例中7例(30.4%),両者がみられた例では16例中6例(37.5%)に再発がみられた.
③内科治療後の待機手術を行った24例の病理像は全て慢性虫垂炎であった.病理所見で内腔の狭窄が示された症例と腹部超音波検査により閉塞機転の存在が示唆された症例の所見合致率は24例中22例(91.6%)であった.
【考察】
①内科的治療を行った症例のほとんどが待機手術の実施例あるいは実施待ち例となったことから超音波による病期分類と分類に応じた保存的治療の有効性が示唆された.
②内科治療例の18.5%に再発が見られたが,既報と同等の結果であった.
③超音波検査で虫垂内腔の閉塞機転が示唆された症例の再発率は有意に高く(p<0.05),病理所見上の狭窄ともほぼ一致したことから,超音波は再発の予測にも有用と考えられた.
【結語】
①急性虫垂炎の超音波検査による病期分類と,分類に応じた内科的治療は有効であった.
②腹部超音波検査により内腔の閉塞機転が示唆された場合,再発に留意する必要があると思われた.