Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝:症例①

(S636)

真性多血症に合併したBudd-Chiari症候群の1例

A case of Budd-Chiari syndrome associated with polycythemia vera

武田 智弓1, 黒田 英克2, 藤原 裕大2, 阿部 珠美2, 三上 有里子1, 石田 秀明3, 太田 拓人4, 滝川 康裕2, 諏訪部 章5

Chiyumi TAKEDA1, Hidekatsu KURODA2, Yuudai FUJIWARA2, Tamami ABE2, Yuriko MIKAMI1, Hideaki ISHIDA3, Takuto OOTA4, Yasuhiro TAKIKAWA2, Akira SUWABE5

1岩手医科大学中央臨床検査部, 2岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野, 3秋田赤十字病院超音波センター, 4東芝メディカルシステムズ営業部超音波グループ, 5岩手医科大学臨床検査医学講座

1Central Clinical Laboratory, Iwate Medical University, 2Division of Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University, 3Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 4Ultrasound System Group, Toshiba Medical Systems, 5Department of Laboratory Medicine, Iwate Medical University

キーワード :

【はじめに】
肝血行動態の把握に,超音波ドプラ法,造影超音波パラメトリックイメージ,三次元超音波検査が有用であった真性多血症に合併したBudd-Chiari症候群の1例を経験したため報告する.
【症例】
48歳,女性.平成19年に真性多血症の診断で当院血液内科にて通院加療中であったが平成24年に自己中断されていた.
【主訴】
腹部膨満感
【現病歴】
平成27年9月に腹部膨満感を認め近医を受診.腹部超音波検査,CT検査で肝腫大,肝静脈閉塞,脾腫と腹水貯留を指摘され当科紹介入院となる.
【現症】
身長160cm,体重50.8kg,体温37.1度,血圧162/81mmHg,脈拍72回,意識清明.結膜に貧血,黄疸は認めない.胸部は心肺異常なし.腹部は臍部中心に膨隆あり,圧痛なし.肝脾触知せず.下腿浮腫なし.明らかな神経学的異常所見なし.血液生化学検査はWBC 9,890/μl,RBC 6.86×106/μl,Hb 18.7 g/dl,Plt 51.7×104/μl,T-Bil 1.3 mg/dl,AST 103 IU/l,ALT 137 IU/l.血液凝固学的検査はPT 67%,TT 55%,ATIII 66%であった.ウイルスマーカーや自己抗体は陰性であった.
【入院後経過】
入院時の超音波検査では,肝静脈三枝はいずれも閉塞し血流シグナルは確認できなかった.また,超音波ドプラ検査で遠肝性門脈血流,肝動脈血流亢進ならびに肝部下大静脈の狭窄を認めた.肝部下大静脈の狭窄部に対し,Fly Thru法を用いた超音波仮想血管内視鏡像を作成すると,狭窄部が明瞭に描出された.第8病日に施行した腹部血管造影検査では肝部下大静脈の狭窄を認め,奇静脈から上大静脈系の側副血行路の発達を認めた.肝静脈三枝は完全閉塞の状態であり,起始部に血栓を伴った右下肝静脈(IRHV)を認めた.また,強い狭窄所見とカテーテルの周囲に不規則な細かい陰影(spider’s web)が観察された.経上腸間膜動脈性門脈造影では,尾状葉と後区に限局した肝実質造影効果を認め,遠肝性側副路として左胃静脈の発達を認めた.以上により真性多血症に合併したBudd-Chiari症候群と診断し,瀉血療法,HU(Hydroxycarbamide)療法,抗凝固療法(Heparin 15,000 unit/day)を開始した.第18病日の超音波検査では,求肝性門脈血流が確認された.また,ドプラ検査で下大静脈に流入する微弱な血流シグナルが確認され,第31病日には,IRHVの血流シグナル増強を認めた.治療前のソナゾイド®造影超音波を用いたarrival-time parametric imagingでは,肝右葉全体の実質灌流の動脈化を認めたが,第31病日には後区,尾状葉に限局した肝実質灌流の改善を認めた.
【考察】
本症例において,超音波駆使して非侵襲的に狭窄部の確認や治療前後の肝血行動態を確認することが可能であった.