青木 智子^{1, 2, 3}, 西村 貴士³, 山平 正浩³, 吉田 昌弘³, 中野 智景³, 東浦 晶子³, 柴田 陽子³, 橋本 眞理子³, 廣田 誠一⁴, 飯島 尋子^{1, 3}

Tomoko AOKI^{1, 2, 3}, Takashi NISHIMURA³, Masahiro YAMAHIRA³, Masahiro YOSHIDA³, Chikage NAKANO³, Akioko HIGASHIURA³, Yoko SHIBATA³, Mariko HASHIMOTO³, Seiichi HIROTA⁴, Hiroko IIJIMA^{1, 3}

¹兵庫医科大学超音波センター, ²公立八鹿病院内科, ³兵庫医科大学内科肝胆膵科, ⁴兵庫医科大学病院病理

¹Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, ²Internal Medicine, Yoka Hospital, ³Division of Hepatobiliary and Pancreatic Diseases Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, ⁴Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
超音波装置の発達によりpenetrationの向上が図られ，B mode USによる深部減衰の程度は十分に評価できない可能性がある．Transient shear wave elastography（TE, FibroScan502^®）に搭載されたControlled Attenuation Parameter（CAP）は定量的に深部減衰の程度を評価することが可能で，脂肪肝診断に有用と言われている．私達はSonazoid^®造影超音波によるKupffer貪食能の画像的評価にも取り組んでおり，B mode USとCAPとの相関についても検討した．
【方法】
測定機器はAplio500（TOSHIBA）を用い，B mode USのプリセットはtissue harmonic imagingやコンパウンドを使用しない基本設定とした．肝腎コントラスト・深部減衰・脈管不明瞭化ともに認めない症例を脂肪肝なしとし，肝腎コントラストを認め，肝表から横隔膜までの深部減衰が0〜20％・20〜50％・50〜％の症例を軽度・中等度・高度脂肪肝と定義した．造影超音波検査ではSonazoid^®を1200倍希釈してbolus静注し，投与40分後の後血管相を低音圧モードで解析ソフト（Image labo）に取り込みK40と定義した．
（1）2014/11〜2015/8に針生検を施行したNASH17例で，肝組織像とK40，CAP値，B mode USとの相関を検討した．（2）2008/1〜2014/9に2回以上K40を測定した43例を対象としてK40の変化と相関する因子を検討した．
【成績】
（1）組織学的な肝脂肪化の程度は，B mode USによる脂肪肝評価，CAP値と有意な正の相関を示した（P＜0.001）．CAP値はK40とも有意な負の相関を認めた（R=-0.640，P＜0.001）．平均K40はBrunt分類G2で182dB，G3で126dBと肝炎症の進行に従って輝度値が低下したが，Brunt分類S2で157dB，S3で172dBと肝線維化の程度には相関しなかった．
（2）K40の変化率は，体重・BMI・腹囲変化率，肝線維化の指標であるFIB4 index・PLTとは有意な相関を示さず，AST変化率（R=-0.523，P=0.003）・ALT変化率（R=-0.433，P=0.015）と有意な負の相関を認めた．
【結語】
組織学的な肝脂肪化の程度はB mode USと良好な相関を示し，CAPによる定量的評価とも相関した．CAP値はKupffer貪食能と有意な相関関係があり，肝脂肪化と肝炎症・Kupffer貪食能は密接な関係がある可能性が示された．