Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化①

(S610)

急性肝疾患における肝弾性値測定

Clinical significance of Fibroscan in acute hepatitis

堀井 里和, 荒井 邦明, 高田 昇, 北原 征明, 砂子阪 肇, 山下 竜也, 金子 周一

Rika HORII, Kuniaki ARAI, Noboru TAKATA, Masaaki KITAHARA, Hajime SUNAGOZAKA, Tatsuya YAMASHITA, Shuichi KANEKO

金沢大学付属病院消化器内科

Gastroenterology, Kanazawa Univercity

キーワード :

【目的】
肝線維化の非侵襲的な評価方法としてfibroscanの有用性が報告されているが,急性肝炎でも肝弾性値が上昇すると報告されている.急性肝炎症例でfibroscanにて弾性値を測定することにより,重症度や予後の推測が可能か検討を行った.
【対象】
2013年から2015年に当院に入院し,Fibroscan 502(Echosens)を施行した急性肝疾患症例19例(男性11例,女性8例,年齢平均46.4歳)を対象とした.成因はHBV9例,AIH5例,成因不明5例であり,劇症肝炎は5例,急性肝炎重症型は5例であった.
【結果】
入院時の平均弾性値は,劇症肝炎症例で48.0kPa,急性肝炎重症型症例で27.6kPa,急性肝炎症例で21.2kPaであり,重症例ほど高い傾向にあった.予後別には,死亡例は4例,生存例は15例で,弾性値はそれぞれ平均56.6kPaと22.8kPaで,死亡例で有意に弾性値の高値を認めた.相関解析では,弾性値はAST値,ALT値,ビリルビン値とは相関係数がそれぞれ0.476,0.401,0.472であった.PT%値とは-0.527,アルブミン値とは-0.652と相関を示した.劇症化予測能については,ROC解析において弾性値はAUROC0.817(弾性値51.0kPaで感度75.0%,特異度93.3%)であった.入院後2週間以内の急性期に弾性値の経時的観察ができたのは10例(HBV7例,成因不明3例)であった.急性肝炎3症例(いずれもHBV)では,2週後までに弾性値の低下を認めた.急性肝炎重症型4例(HBV3例,成因不明1例)では,HBV症例の弾性値は経過で低下した.成因不明の1例は横ばいであった.劇症肝炎3例(HBV1例,成因不明2例)では,成因不明の1例の弾性値は第1病日は17.1kPaであったが,その後上昇を続け,第7病日(26.3kPa)に劇症化した.もう1例は人工肝補助療法を行い,弾性値は65.2kPaから第5病日には35.3kPaまで低下したが,第7病日には腹水が出現し,劇症化を認めた.HBVの1例は,当初は人工肝補助療法を行わず,弾性値が75kPaから第7病日には36.9kPaまで低下したが,その後徐々に腹水貯留,肝萎縮を認め,劇症化した.3症例とも肝移植ドナーが存在せず,死亡した.
【結語】
急性肝炎症例において肝弾性値測定で劇症化の予測をするには至らなかったものの,重症度の指標となりうる.弾性値は治療介入によっても変動するため,重症肝炎,特に劇症化の可能性がある症例では,低下を認めた場合でも予後改善の指標とはならなかった.