Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 他臓器疾患と心機能

(S604)

閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における,CPAPによる心機能改善効果の検討

The Effect of CPAP on cardiac function of OSAS patient

鈴木 秀1, 2

Shu SUZUKI1, 2

1東北公済病院循環器内科, 2東北公済病院臨床検査科

1Department of Cardiology, Tohokukosai Hospital, 2Clinical Laboratory Department, Tokhokukosai Hospital

キーワード :

【背景】
閉塞性睡眠時呼吸障害は,健常人と比べ心血管イベントの発症頻度が高く,予後不良であることが知られている.また,CPAP治療により,重症閉塞性睡眠時無呼吸症候群でも死亡率抑制効果があることが知られているが,その詳細なメカニズムは不明である.
【目的】
今回我々は,CPAP治療前後の心機能の改善効果について,心エコー図法を用い,左室収縮能,左室拡張能,右心機能の指標を測定して検討した.
【方法・対象】
対象は,当院でpolysomnographyにより,閉塞性睡眠時無呼吸患者と診断し,CPAP治療(平均336±218日)を施行した36名の患者(男性27人,35±7.6歳).心エコー図法により測定された各指標をCPCP療法前後で比較検討した.左室収縮能の指標として,LVEF, Global longitudinal peak strain(GLPS),拡張能の指標としてE/e’,E/A,僧帽弁流入血流減衰時間(DCT),右心機能の指標として,RV Fractional Area Change(RVFAC),Tricuspid Annular Plane Systolic Excursion(TAPSE)を測定した.
【結果】
心拍数は,CPAP後にCPAP前と比べ優位に減少した(68±11 to 61±11,p<0.05).左室収縮能を示す指標は,simpsonLVEF(60±7.6 to 65±6.6,p<0.05),GLPS(-17.5±2.5 to -19.6±2.4,p<0.05)とも有意に改善した.左室拡張能を示す指標は,E/e’,E/A,DCTとも有意な変化は見られなかった.右心機能を示す指標では,TASPEは有意な改善が見られなかったが,RVFAC(43±7.2 to 50±7.1,p<0.05)は有意な改善が見られた.
【考察・結論】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者では,CPAP治療により,左室収縮能,右室収縮能の改善が見られたが,左室拡張能には改善が見られなかった.