Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 右心機能・運動負荷

(S581)

ハンドグリップ負荷心エコーの有用性

Usefulmess of handgrip stress echocardiography for diagnosing myocardial ischemia

水野 靖子1, 宮口 克之2, 平野 豊3

Yasuko MIZUNO1, Katsuyuki MIYAGUCHI2, Yutaka HIRANO3

1友紘会総合病院臨床検査部, 2奈良友紘会病院臨床検査部, 3近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部

1Yukokai General Hospital, Clinical Laboratory, 2Nara Yukokai Hospital, Clinical Laboratory, 3Kindai University Hospital, Central Clinical Laboratory

キーワード :

【背景】
近年,高齢者が増加したためエルゴメーターやトレッドミル運動負荷のような症候限界まで行う負荷法では下肢疲労のためすぐに運動負荷が中止となり,充分な運動負荷ができず心筋虚血判定が困難となる症例が多い.
【目的】
ハンドグリップを用いた軽度の等尺性運動負荷と,同時に心エコーによる冠動脈血流評価と壁運動評価を行う事が心筋虚血診断に有用か否かを検討した.
【方法】
対象は冠動脈狭窄疑いで心臓カテーテル検査のために入院し,左前下行枝(LAD)に有意狭窄があった12例と,冠動脈狭窄のない対象群12例である.ハンドグリップ負荷の方法は,最大握力の50%で5分間握り続けていただき,負荷開始3分後からLADの冠動脈血流の記録と,断層心エコーを記録した.心尖4腔像からglobal longitudinal strain(GLS)と壁運動評価を左室6分割した局所longitudinal strain(LS)を負荷前後で計測した.
【成績】
1.冠動脈狭窄のない対象群ではハンドグリップ負荷前に拡張期冠動脈最大血流流速(DPV)は,26.8±6.8(cm/sec)であったのに対して,負荷後に31.1±6.4へ有意に増加した(P<0.05).一方,LAD狭窄群ではハンドグリップ負荷前に24.8±4.0(cm/sec)であったが,負荷後26.1±5.0とその増加率は対象群と比べて有意に低値であった.2,GLSの増加率は両群間で有意な差はなかったが,中部中隔と心尖部中隔ではLSの増加率は,LAD狭窄群で低値であった.
【結論】
ハンドグリップ負荷は高齢者でも施行可能であり,冠動脈血流と壁運動を評価することは心筋虚血評価に有用である可能性がある.