Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 症例報告①

(S575)

心嚢腔内に腫瘍像を認めた,原発性心膜中皮腫の1例

Primary Malignant Mesothelioma in the Pericardium:A Case Report

白倉 和代1, 千久田 いくみ1, 小林 花子1, 鳥澤 千景1, 細川 知花1, 横山 直之2, 笹島 ゆう子3, 近藤 福雄3, 古川 泰司1

Kazuyo SHIRAKURA1, Ikumi CHIKUDA1, Hanako KOBAYASHI1, Chikage TORISAWA1, Tomoka HOSOKAWA1, Naoyuki YOKOYAMA2, Yuko SASAJIMA3, Fukuo KONDOU3, Taiji FURUKAWA1

1帝京大学医学部附属病院中央検査部, 2帝京大学医学部附属病院循環器内科, 3帝京大学医学部付属病院病院病理部

1Laboratory Medicine, Teikyo University Hospital, 2Internal Medicine(Cardiology), Teikyo University Hospital, 3Pathology, Teikyo University Hospital

キーワード :

【はじめに】
心エコー図は心嚢液の性状判定および原因疾患の推定に有用である.
今回,心嚢液貯留と心嚢内の腫瘍像を契機に発見された心膜悪性中皮腫を経験したので報告する.
【症例】
40歳台男性.平成27年7月初旬より,労作時の息切れ,下肢浮腫が出現した.症状は次第に増強し,9月には食事摂取困難となり近医を受診.経胸壁心エコー検査にて著明な心嚢液貯留を,胸部X線では両側の胸貯留を指摘された.精査加療目的で当院紹介となった.当院での経胸壁心エコー検査では,収縮期および拡張期を通じてecho-free spaceを,また,右室で拡張早期にcollapse signを認めた.臨床的上も心拍数120bpmと頻脈を認めたが,血圧120/58mmHgと保たれており,奇脈を認めていないことから,心タンポナーデには至っていないと考えられた.また,心嚢液貯留と共に,心嚢内に,左心室側壁から後壁に接する95mm×96mmの辺縁不整・内部エコー不均一な可動性を有する異常エコー像を認めた.しかし,その内部には,カラードプラにて血流シグナルを認めなかった.心嚢腔内の異常エコーの鑑別として,フィブリン,凝集血,腫瘍等が考えられた.心嚢試験穿刺にて血性心嚢液を認めたことから,心臓腫瘍が強く疑われた.その後に施行したPET−CT検査では,心膜腔内にびまん性の集積があり,特に左室後方に強い集積を認めた.これは,心エコー図にて認めた心嚢内腫瘍像と局在が一致した.一方,胸水には集積を認めなかった.冠動脈血管造影では,左冠動脈より腫瘤への栄養血管を認めた.以上より悪性原発心膜腫瘍の可能性が考えられた.鑑別診断として,悪性中皮腫,リンパ腫,滑膜腫瘍等が挙げられた.
腫瘤の確定診断目的として,第21病日に開胸下で腫瘍切除と生検を施行.病理組織診断の結果,心膜由来の悪性中皮腫(肉腫型)と診断された.
【まとめ・考察】
原発性悪性心膜中皮腫は,発症頻度が年間0.0022%と極めて稀な悪性腫瘍である.男性に多く,発症平均年齢46歳,アスベストばく露が病因である可能性は低いと報告されている.本疾患は進行が非常に早く予後が不良であり,早期の診断・治療が求められる.本症例のように多量の心嚢液貯留や心膜腔内に腫瘤を認める場合,悪性心膜中皮腫も鑑別の1つと念頭に置き,他のモダリティの所見と合わせて診断する必要があると考えられた.