Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 心房細動

(S564)

左室駆出率が保持された心房細動患者において,夜間血圧変動性が左房拡大に与える影響

Greater Blood Pressure Variability is Associated with Left Atrial Enlargement in Atrial Fibrillation Patients with Preserved Ejection Fraction

則岡 直樹, 岩田 真一, 杉岡 憲一, 藤田 澄吾子, 伊藤 朝広, 花谷 彰久, 高木 雅彦, 葭山 稔

Naoki NORIOKA, Shinichi IWATA, Kenichi SUGIOKA, Suwako FUJITA, Asahiro ITO, Akihisa HANATANI, Masahiko TAKAGI, Minoru YOSHIYAMA

大阪市立大学大学院医学研究科循環器内科学

Department of Cardiovascular Medicine, Osaka City University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
心房細動患者において,左房拡大は脳梗塞の独立した危険因子である.また,一方で,夜間血圧変動の増大と脳梗塞発症の関連性も報告されている.しかしながら,心房細動患者において,左房容量と夜間血圧変動の関係については十分に検討されていない.
【目的】
左室駆出率が保持された心房細動患者において,夜間血圧変動が心エコーで計測した左房容量に与える影響を検討すること.
【対象】
心房細動に対するカテーテルアブレーションあるいは電気的除細動目的に入院した心機能が保たれた(左室駆出率≥ 50%)心房細動患者連続82例(平均年齢63±10 男性62例).
【方法】
夜間血圧が測定可能な家庭血圧計を用いて,1時間毎に夜間(就寝中)血圧を測定した.血圧変動性の指標として変動係数を算出した.また,起床時に三回血圧を測定し,その平均値を起床時血圧とした.左房容積の計測には,経胸壁心エコーにより,心尖部四腔像および二腔像からModified Simpson法により左房容積を計測し,体表面積で除した左房容積係数を算出した.
【結果】
左房容積係数は,平均40.1±12.9 ml/m2であった.単変量解析では,すべての収縮期および拡張期血圧指標(起床時血圧,平均夜間血圧,夜間血圧変動性)は,左房容積係数と正の相関を示した(それぞれP<0.05).年齢,性別,降圧薬の使用,log BNPを含む多変量解析では,収縮期および拡張期の夜間血圧指標(平均夜間血圧・変動係数)は左房容積係数の独立した関連因子であった(それぞれP<0.05).一方,起床時血圧は,左房容積係数の独立した関連因子ではなかった.
【結論】
左室駆出率が保持された心房細動患者において,平均夜間血圧および夜間血圧変動性は,左房容積の独立した関連因子であった.本研究の結果より,平均夜間血圧およびその変動性の増大が,左房の拡大および将来の脳梗塞リスクに寄与する可能性が示唆された.