Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 組織性状評価

(S558)

単一送受信素子対を用いた周波数領域干渉計法による皮質骨を伝搬する超音波モード推定

Characterization of ultrasonic waves propagating in cortical bone with frequency domain interferometry using a single pair of transmitter and receiver

奥村 成皓1, NGUYEN Vu-hieu2, 瀧 宏文3, 佐藤 亨1

Shigeaki OKUMURA1, Vu-hieu NGUYEN2, Hirofumi TAKI3, Toru SATO1

1京都大学大学院情報学研究科, 2Laboratoire Modélisation Et Simulation Multi Echelle, MSME UMR 8208 CNRS, Université Paris-Est, 3東北大学大学院医工学研究科

1Graduate School of Informatics, Kyoto University, 2Laboratoire Modélisation Et Simulation Multi Echelle, MSME UMR 8208 CNRS, Université Paris-Est, 3Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

【はじめに】
薄い平板中を伝搬するガイド波はラム波と呼ばれ,境界面での反射を繰り返すことで特定の周波数−位相速度関係を持つモードに分かれて伝搬する.皮質骨中を伝搬するラム波のモードを特定することは,骨の性質を診断する上で重要である.近年,複数送受信素子を用いたモード特定方法が報告されているが,コスト面を考えた場合,少数素子による特定が望ましい.またラム波の各モードに対応する伝達関数の計算方法が提案されているが,縦波,横波速度が必要である.本研究では単一素子における受信信号に周波数領域干渉計法(FDI)と適応型信号処理を適用し,縦横波速度を推定した後,最小二乗法によって受信波形を特定する.
【実験方法と結果】
Semi-analytical finite element methodを用いて2次元の数値シミュレーションを行った.入射波の中心周波数は1.0 MHz,皮質骨の厚みは5mm,受信素子と送信素子の間隔は21mmである.ラム波の0モードにおいて,高周波数領域では分散が少なく,その位相速度はレイリー波の速度と一致する.レイリー波の速度は縦横波速度によって決定されるため,レイリー波の速度が分かれば縦横波速度の組み合わせを限定することができる.そこでFDIと適応型信号処理手法の一つであるCapon法を応用し,骨伝導波に最適化された参照波候補と適切な周波数帯域選択により,複数の波が混在する受信信号から各波を抽出し,その位置を高精度推定する.高周波数領域では伝播による分散が少ないため,送受信信号の高周波成分のみを参照波として使用し,FDIを適用することで,レイリー波の速度を推定する.推定されたレイリー波の速度に基づき縦波横波速度を推定し,伝達関数を計算する.その後,最小二乗法を用いて受信波形と比較し,誤差が最も小さい推定波形を推定波形として使用する.計算された波形とシミュレーション結果から得られた波形を図2に示す.ただし振幅は受信信号の最大振幅で正規化した.本研究では縦波横波速度の候補を8つ用いた.計算結果が受信波形とほぼ一致していることがわかる.全信号電力で正規化した残差は-18 dBであった.
【結論】
本研究では,骨伝導波のために波形候補と周波数帯域を最適化した周波数領域干渉計法を提案し,皮質骨中を伝搬する超音波の各波を分離した.計算された波形はシミュレーション結果と精度よく一致し,単一送受信素子での皮質骨を伝搬する超音波モード特定の可能性が示唆された.