Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 マイクロバブル

(S545)

周波数掃引超音波とソナゾイド®を併用した薬剤の細胞内取り込み効果の検討

Frequency sweep ultrasound and microbubble mediated cellular uptake efficiency

渡邉 晶子, ムサビ ネジャド セイエデ, 遠藤 日富美, フェリル ロリト, 立花 克郎

Akiko WATANABE, Seyedeh MOOSAVI NEJAD, Hitomi ENDO, Loreto b. FERIL, Katsuro TACHIBANA

福岡大学医学部解剖学

School of Medicine, Anatomy, Fukuoka University

キーワード :

【目的】
近年,造影超音波で用いられるマイクロバブル超音波造影剤の治療応用に向けた研究が活発化している.当研究グループの従来研究で,単一周波数と比べて周波数掃引超音波を利用することで,がん細胞の殺傷効果が増強する傾向が認められた.周波数掃引超音波照射方法の他の超音波治療への応用を目指し,本研究ではマイクロバブル超音波造影剤ソナゾイド®と周波数掃引超音波を併用した薬剤の細胞内デリバリー効果について検討した.
【実験】
薬剤細胞内取り込みモデルとして,蛍光標識されたFITCデキストランを使用した.PBSで溶解したFITCデキストラン溶液にソナゾイド®を加えた混合溶液を作製した.ヒト白血病細胞株U937にFITCデキストランとソナゾイド®混合溶液を添加後,超音波を照射した.超音波照射条件は,中心周波数1.5 MHzで掃引幅100 kHzのダウンチャープ,掃引間隔0.2 ms,パルス繰り返し周波数50 Hz,デューティー比50%,音響強度10 mW/cm2,超音波照射時間15秒間,ソナゾイド®濃度5%とした.超音波曝露後にFITCデキストラン入りの細胞懸濁液をPBSで洗浄し,フローサイトメトリーにより解析を行った.デキストラン単独,デキストランとソナゾイド®単独,デキストランと超音波の併用群,デキストランとソナゾイド®および超音波併用群のFITC蛍光強度の強さを比較した.
【結果】
実験結果をFig. 1に示す.超音波の曝露を受けていないネガティブコントロールと比較して,デキストランを添加した全ての群でFITC蛍光強度が増加する傾向が認められた.測定した実験群の中で,デキストランとソナゾイド®の混合溶液を添加後にダウンチャープ超音波を照射した群において最も強い蛍光強度の増加が見られた.シフトした分の蛍光強度の増加は,細胞内にデキストランが取り込まれた傾向が示唆される.
【結論】
ソナゾイド®と周波数掃引超音波を併用した薬剤の細胞内デリバリー効果について検討した.細胞内へのデキストラン取込み現象が示唆される蛍光強度の増加傾向が認められた.周波数掃引超音波照射方法を細胞殺傷効果以外に,ドラッグデリバリーに応用できる可能性が示唆された.