Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 せん断波イメージング

(S540)

Shear-wave Elastographyを用いた動脈壁硬化の評価に関する研究

Assessment of Arterial Wall Stiffness using Shear-wave Elastography

張 俊根, 近藤 健悟, 浪田 健, 山川 誠, 椎名 毅

Jun-keun JANG, Kengo KONDO, Takeshi NAMITA, Makoto YAMAKAWA, Tsuyoshi SHIINA

京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻

Human Health Sciences, Graduate School of Medicine, Kyoto University

キーワード :

【目的】
近年Shear-wave Elastography(SWE)法が実用化され,剪断波速度(CS)を推定することにより人体組織の弾性率(E)を定量的に評価できるようになった(∵E=3ρCS2,ρは密度).しかし厚みの薄い媒質を伝わる剪断波は各周波数成分ごとに異なる速度で伝搬するため,他の関連研究では漏れラム波でモデリングすることによりCSの推定を行っている[1].そこで,これまで厚みの薄い平板媒質に対して有限要素解析やファントム実験を行い,漏れラム波からCSが正確に推定できるか検証してきた.今回,チューブ状ファントムに対しても漏れラム波を用いた方法が有効であるか検討を行った.
【方法】
図1のように寒天1.5%と2%の平板状ファントム(a)とチューブ状ファントム(d)を作製した(いずれも厚みは2mm,チューブの内径は8mm).超音波診断装置により計測した同じ寒天濃度のバルク・ファントムの剪断波速度(1.5%は5.3m/s,2%は7.3m/s)と漏れラム波でモデリングして得られた推定値(ĈS)をそれぞれ比較した.この際,構造的な条件のみを考慮するため,拍動の影響は無視した.また,音響放射圧の励起時間は150μs,フレーム・レートは10kHzとした.
【結果及び考察】
図1の(b)と(e)は平板状ファントムとチューブ状ファントムの上壁の中心から抽出した粒子速度,(c)と(f)は粒子速度から計算した分散曲線の計測値とカーブ・フィッティングによる結果を示している.平板状ファントムの場合の粒子速度(b)とは異なり,チューブ状の場合(e)では円周方向に伝わる剪断波成分が現れるため,この成分を除去することにより漏れラム波でモデリングを行った.いずれのファントムに対しても漏れラム波で推定したĈSが計測値とほぼ一致していることから,動脈壁の弾性率推定においても漏れラム波を用いた方法が有効であることが確かめられた.
しかし,内径と厚みに比率や音響放射圧の励起時間のよりCS推定値が変わるという報告もあるため,今後種々の条件における再現性や拍動の影響を考慮した実験を行う必要がある.
【結論】
動脈壁のようなチューブ状の媒質に対しても漏れラム波でモデリングすることにより,SWE法を用いて剪断波速度が正確に推定できることを確認した.今後,ブタ等の動脈を用いたex vivoの実験を行い,臨床への適用可能性を検証する必要があると考える.
【参考文献】
1)M. Couade, et al. Ultrasound in Medicine & Biology. 2010;36(10):1662-1676.