Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

奨励賞演題
奨励賞演題 産婦人科 奨励賞演題 産婦人科

(S527)

位相差トラッキング法を用いた胎児脈圧の計測および

Noninvasive estimation of pulse pressure in fetus using the ultrasonic phase-tracking method and the experiment using the vascular simulation model

室本 仁1, 2, 室月 淳1, 2, 和形 麻衣子1, 2, 原田 文2, 八重樫 伸生3, 長谷川 英之4, 瀧 宏文5, 金井 浩5

Jin MUROMOTO1, 2, Jun MUROTSUKI1, 2, Maiko WAGATA1, 2, Aya HARADA2, Nobuo YAEGASHI3, Hideyuki HASEGAWA4, Hirofumi TAKI5, Hiroshi KANAI5

1東北大学大学院医学系研究科先進成育医学講座胎児医学分野, 2宮城県立こども病院産科, 3東北大学病院産婦人科, 4富山大学工学部知能情報工学科, 5東北大学大学院医工学研究科

1Department of Advanced Fetal and Developmental Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine, 2Department of Maternal and Fetal Medicine, Miyagi Children’s Hospital, 3Department of Obstetrics and Gynecology, Tohoku University, 4Laboratory for Neural Information Technology, Toyama University, 5Engineering, Department of Electronic Engineering, Tohoku University Graduate School

キーワード :

【目的】
血圧はヒト胎児において非侵襲的に評価することが困難な指標である.位相差トラッキング法は計測点を高精度(速度0.1 mm/s,積分距離0.2μm)に計測でき,我々はこれを応用して非侵襲的なヒト胎児の脈波伝播速度計測および脈圧推定を試みてきた.今回,脈波伝播速度計測においては胎児血管壁運動速度の周波数解析を行い適切なサンプリング周波数(フレームレート)の設定,および脈圧推定においては血液循環モデル実験を行いその計測精度を明らかにする事を目的とした.また,本法を用いたヒト胎児における脈波伝播速度および脈圧推定値の正常発達についても検討した.
【対象と方法】
同意の得られた正常ヒト胎児10例(妊娠16-40週)を対象に下行大動脈壁(横隔膜レベル)の振動速度波形の周波数解析(FFT)を行った.脈波伝播速度計測は同血管壁の長軸方向に沿った異なる2点で振動速度を計測することで速度波形間の遅延時間推定を行った.また,遅延時間推定には周波数成分をもとに再構築補間法を導入した.脈圧推定はwater-hammer式を理論背景とし,ドプラ法による血流速度計測値と前述の脈波伝播速度計測値から算出した.血液循環モデルにおいて本法で得られた脈圧推定値と圧力計による真値を比較した.同意の得られた正常ヒト胎児100例(妊娠18-40週)において下行大動脈横隔膜レベルでの脈波伝播速度計測および脈圧推定を行い,正常発達を検討した.計測はすべて改造した超音波診断装置(Aloka社製prosound F75)と中心周波数3.5-5MHzのコンベンックス型プローベを用いて超音波RF信号を得た.統計解析はJMP ver.10を使用し,p<0.05を有意水準と設定した.
【結果】
正常ヒト胎児における動脈壁振動速度波形の周波数成分は全例で100Hz以下であった.血液循環モデルによる実験では脈圧推定値と実測真値は強い相関を示した(r=0.99,p<0.01).正常ヒト胎児において脈波伝播速度および脈圧推定値は100例中82例で計測可能であり,妊娠週数とともに増加した(脈波伝播速度=2.94±1.03m/s, r=0.70,p<0.01 ;脈圧推定値=12.33±6.86mmHg, r=0.74,p<0.01).
【結論】
本法によりヒト胎児において脈圧推定および脈波伝播速度計測は可能であり臨床応用への可能性を示した.