Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

Keynote Lecture
Keynote Lecture 12乳腺 Keynote Lecture 12乳腺

(S514)

乳房超音波検査 【総論】

Diagnostic criteria of the JABTS’s guideline for breast masses

加奥 節子

Setsuko KAOKU

京都府立医科大学大学院医学研究科人体病理学

Department of Surgical Pathology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

乳房超音波診断ガイドライン改訂第3版(日本乳腺甲状腺超音波医学会編)では診断樹により乳腺腫瘤のカテゴリー判定が記されている.初学者では診断樹を理解するのは難しいとの意見を聞くことがしばしばあり,今回は腫瘤像の診断樹を理解すること,またカテゴリー判定は乳腺疾患(病変)から推定して判定することについて,その手順を中心に解説する.
a. カテゴリー2(良性)とするもの
嚢胞性パターン(無エコー)をはじめ,充実性パターンでは「2 cm以下で十分に縦横比の小さい全周性に境界明瞭平滑なもの」,「粗大高エコーを有するもの」,「前面に円弧状の高エコー,かつ後方エコーの減弱・欠損を伴うもの」であることが確認できればカテゴリー2とし,精密検査(以下,精査)としない.「十分に縦横比の小さい全周性に境界明瞭平滑な腫瘤」の多くは線維腺腫を指し,他には過誤腫等がある.「粗大高エコーを有するもの」は陳旧性線維腺腫の間質の石灰化を考える.また小さな円形低エコー像で「前面に円弧状の高エコー,かつ後方エコーの減弱・欠損を伴う」場合には小さな濃縮嚢胞を考え,前面の円弧状の高エコーが明らかでなく境界が明瞭粗糙や不明瞭な場合には悪性も視野に入れカテゴリー3以上とする.
b. カテゴリー4,5(悪性および悪性疑い)とするもの
充実性パターンの「境界部高エコー像,乳腺境界線の断裂のいずれかを認めるもの」,また「境界部高エコー像,乳腺境界線の断裂のいずれも認めないが点状高エコーを認めるもの」がある.「境界部高エコー像,乳腺境界線の断裂のいずれかを認めるもの」とは,腫瘤から周囲間質への浸潤所見,つまり浸潤癌を考える.また「境界部高エコー像,乳腺境界線の断裂のいずれも認めないが点状高エコーを認めるもの」では,腫瘤の間質への浸潤所見は認めないが,点状高エコーの多くはComedo type(面疱型)の乳管内の壊死,つまり乳管内に存在する癌胞巣の中心が壊死に陥っている場合を想定するため,悪性を疑う所見を指している.また,点状高エコーには乳管内の分泌物のみで悪性でないこともあり,それらをふまえてカテゴリー4とすることもあるが,点状高エコーの範囲(量)や,共に存在する低エコー腫瘤像の分布から悪性以外考えられない場合にはカテゴリー5とする.
c. 明らかな良性所見と悪性所見を除いた症例
a.とb.で明らかな良性,悪性は判定がつくかと思うが,カテゴリー3にするか4にするか迷う症例をここで説明する.
混合性パターンについては,嚢胞内に充実性エコーを伴う症例が対象となる.嚢胞内に有茎性で乳頭状や急峻な立ち上がりの充実性エコーを伴っている場合は乳管内乳頭腫を考えてカテゴリー3とする.嚢胞壁を這うような充実性エコーが存在する場合には嚢胞内癌を考える.増大してくると外側に突出してくるような所見がみられるが,嚢胞壁を超えて間質に浸潤していることは少なく,カテゴリー4とする.
次に,充実性パターンでa.とb.を除く症例ではD/Wに注目する.検診では5 mm以下は基本的に精査としないが,5 mmを超える症例でD/Wが0.7以上であれば小さな乳癌を疑い,また形状が不整形である場合にはカテゴリー3とする.小さな不整形低エコー像は硬化性腺症(乳腺症)等との鑑別が必要であり,このような病変が両側や他領域に多発している場合にはカテゴリー2とし精査としない.
以上,診断樹について述べたが,超音波検査を施行する者は,カテゴリー3以上をつける場合には「精査が必要である」ということであるので,もう一度振り返って確認し,慎重に最終判定をすることが重要である.