Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

Keynote Lecture
Keynote Lecture 1 消化器 Keynote Lecture 1 消化器

(S509)

肝癌診療と超音波

Clinical practice for hepatocelular carcinoma and ultrasound

玉井 秀幸

Hideyuki TAMAI

和歌山県立医科大学第二内科

Second Department of Internal Medicine, Wakayama Medical University

キーワード :

肝発癌のリスクを評価する上で,肝線維化を評価することは極めて重要である.超音波を用いた肝硬度測定法は,肝生検に代わる,安全に繰り返し行える有用な検査法であり,各社が硬度を定量化できる装置をリリースしている.しかし我々が,剪断波速度の測定結果に影響する因子を検討してみると,ROIの設定深度や肥満などの因子が測定結果に影響することが明らかとなり,今後,測定方法の標準化や肥満の補正などが必要であると思われる.
肝癌スクリーニングにおいて,超音波検査は一番の柱となる検査法として推奨されている.しかしながら肝腫瘍の検出能は,術者の技量に依存し,患者条件にも大きく影響を受ける.さらに超音波の死角にある病変は,いかに技量が優れていても描出できない.これは超音波の検査技能の向上や均てん化だけでは解決できない問題であり,超音波検査の限界を知り,その欠点を補う別の方法を考える必要がある.我々の検討では,見逃してはいけない古典的肝細胞癌において,超音波検査よりも拡散強調画像を含む単純MRIの方が検出能が有意に高かった.超音波の欠点を補完するひとつの方法として,単純MRI検査を提案したい.
肝癌は根治的治療後も高頻度に再発する.しかし,確立された再発肝癌スクリーニング法は未だ推奨されていない.一方,造影CTや造影MRI技術の進歩は著しく,今や,超音波検査では描出困難な1cm以下の小病変も検出,診断可能になってきている.そのため,多くの肝癌治療専門施設では,造影CTや造影MRIが,再発肝癌スクリーニング検査として主に行われている.しかし,これらのモダリティの検出感度の上昇に伴い,特異度の低下が問題になってきている.我々の検討では,造影エコーは,造影CTで再発を疑う小病変の再発確認に有用であった.
超音波検査は肝癌スクリーニング検査として,主に腫瘍を発見する存在診断に重きが置かれ,肝癌と他腫瘍との鑑別といった質的診断は,造影CTや造影MRI検査により判定されるのが通常である.しかし,癌の治療法を決定する上で,数や大きさだけでなく,癌の悪性度を考慮することは,最適な治療を選択する観点から極めて重要である.肝癌の肉眼型と悪性度には密接な関係がある.超音波は空間分解能が高く,腫瘍の形態をCTやMRIよりも正確に反映すると考えられ,我々は,Bモード画像や造影エコーKupffer相における欠損像により,癌の悪性度を評価可能であるか検討した.その結果,Bモード画像でも悪性度に評価はできるが,造影エコーKupffer相欠損画像のほうが,より正確に肉眼型を反映し,悪性度評価が可能であった.
超音波はリアルタイム性に優れるため,ラジオ波焼灼療法(RFA)における穿刺ナビゲーションとして広く用いられているが,微小病変や遺残,マージン不足部位などは,通常のBモードでは同定困難である.しかし,このような病変は,造影エコーにより同定可能となる.さらに造影CTやMRI画像を用いた仮想超音波と造影エコーを組み合わせると,より同定が容易となる.造影エコーを用いた治療ナビゲーションは,今や安全確実なRFAを成功させるために欠かせないものとなってきている.
以上のように,超音波は,肝癌診療における様々な局面で無くてはならない検査法として応用されており,その特徴や利点,使用法の注意点や限界を知り,上手く使うことが大切である.