Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 頭頸部
シンポジウム 頭頸部(JSUM・JABTS共同企画) 頭頸部癌頸部リンパ節転移の超音波診断

(S500)

多施設研究による頭頸部癌頸部リンパ節転移診断基準の検討

Ultrasonography diagnostic criteria for cervical lymph node metastasis of head and neck squamous cell carcinoma(multicenter study)

古川 まどか

Madoka FURUKAWA

神奈川県立がんセンター頭頸部外科

Department of Head and Neck Surgery, Kanagawa Cancer Center

キーワード :

【背景】
頭頸部扁平上皮癌は頸部リンパ節転移をきたしやすく,転移の有無や広がりが予後を決定する因子の一つとなる.超音波診断は,CTでは診断が難しいとされている径10mm未満のリンパ節において,個々のリンパ節の超音波像をもとに転移の有無を検討することが可能である.Bモード解像度やカラードプラ画像の質向上などによって,より多くの情報を頸部リンパ節の超音波像から得ることができるようになった.
【目的】
超音波診断は頸部リンパ節転移の早期診断に有用であるが,診断基準は施設や検査者によって異なっていた.多施設で使用可能な診断基準を作成するため診断基準を新たに提案した.従来から示されているように,リンパ節内に小転移巣が形成し始めると,最初に厚みが変化する.このリンパ節の厚みに加え,超音波画像の向上によって観察可能となったリンパ節内部構造の変化や,リンパ節内転移病巣の検出を診断基準に採用した.参加した複数の施設で講習会を行った後,実際にこの診断基準を試用した結果について検討した.
【対象と方法】
2009年10月より2013年3月までに前治療なく頸部郭清術を施行した頭頸部扁平上皮癌76症例で,術前に超音波診断で検出し転移の有無を診断できた166個(最終病理診断で転移陽性70個,陰性96個)のリンパ節を対象とした.超音波診断装置の画面を超えるような大きな転移リンパ節や,他の画像診断でも明らかに転移陽性と判断できるようなリンパ節は対象から除外した.参加施設は神奈川がんセンター,名古屋大学,四国がんセンター,宮城がんセンター,愛知がんセンター,金沢医大,新潟がんセンターの7施設で,共通プロトコールを作成し各施設で研究許可取得後に症例登録を行った.
【結果】
最終病理診断で転移陽性であったリンパ節70個のうち,62個(89%)が本診断基準で術前に転移陽性と正しく診断され,最終病理診断で転移陰性であったリンパ節96個のうち,85個(90%)が本診断基準で術前に転移陰性と正しく診断された.偽陽性例,偽陰性例ともに厚み5−7mmに集中していた.
【結論】
今回対象となったリンパ節の多くが,他の手段では転移陽性か陰性かの判断に迷うような厚み10mm前後またはそれ以下の大きさであったことを考慮すると,作成した診断基準は,複数施設においてもリンパ節転移診断に有用で,各施設の診断医にとって理解し易い内容のものである事が確認された.さらに,診断結果と病理診断をフィードバックさせることが診断率向上に役立つ可能性が示唆された.2015年4月よりこの診断基準を一部改訂し,新たに多施設における研究を開始し実施中である.(日本超音波医学会頭頸部癌頸部リンパ節転移超音波診断基準研究会)