Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 2 大動脈疾患に血管エコーはどこまで有用か

(S483)

大動脈診療における血管エコーの有用性

Clinical utility of the vascular ultrasound for aortic disease

船水 康陽

Yasuharu FUNAMIZU

東北大学病院診療技術部生理検査部門生理検査センター

Clinical Physiological Laboratory, Tohoku University Hospital

キーワード :

【初めに】
大動脈疾患におけるmodalityとしてCTA,MRA,IA-DSA,血管エコーなどがあるが,適切な診療を行うためには目的に応じて最適なモダリティーを選択する必要がある.今回は血管エコーの利点,課題を踏まえ,その有用性について述べる.
【血管エコーの特徴】
血管エコーの利点は,無侵襲なため繰り返し評価可能,形態診断と機能診断ができる,リアルタイムに結果が得られるが,課題として石灰化・ガス・骨などにより評価困難,得られる情報や画質は検者の技量に依存し,画像の客観性や再現性に乏しいなどがある.
【胸部大動脈疾患における血管エコーの有用性】
胸部大動脈は音響窓が限られ良好な画像や情報を得ることが困難であり,例え描出可能例でもその範囲は限られるため,客観的な情報を得ることができるCTA,MRA,IA-DSAの方が勝る.しかし,大動脈解離などの救急時には短時間にリアルタイムに診断できるツールとして血管エコーは有用である.
【腹部大動脈疾患における血管エコーの有用性】
腹部大動脈では,腸管ガスや肥満などの影響を受けることもあるが装置のチューニングや走査テクニックで良好な画像を描出できる場合が多く血管エコーが威力を発揮できる部位である.腹部大動脈疾患として,腹部大動脈瘤(AAA),高安動脈炎,解離,狭窄,閉塞,などが挙げられるがいずれにおいても血管エコーは有用である.
AAAは,未治療な瘤径変化の評価に加え,EVAR(stent-graft内挿術)術後も瘤径,device migration,endoleakなどの継続的な評価が必要である.CTは客観的な評価であるが,造影剤の使用と被曝の点からも非侵襲的検査な血管エコーでの代用が望まれる.AAA瘤径計測時の問題点としてCTよりエコーの方が小さく計測されることである.その要因として,CTでの瘤径計測は,心電図同期をしない限り収縮期と拡張期の合成画像で瘤壁の外側から外側の距離で計測しているが,エコーの場合,これまで当院では心収縮期,拡張期の時相に関係なく瘤壁の内側から内側の距離で計測しており心収縮期および拡張期の時相による血管径の変化と瘤壁の厚さによる差と考えられた.エコーでCTと同様に心収縮期の瘤壁の外側から外側の距離で計測することでCTとエコーでのAAAの瘤径の差が少なくなるのではと思われる.そこで,現在当院で,「AAA瘤径計測モダリティーとしてのエコーとCTの比較検討」を行っており,来年の日本超音波医学会学術集会の一般演題で報告する予定である.endoleakの評価においても血管エコーは有用である.endoleakの検出のみならずtype分類の推定が可能であるため,予後不良なtypeⅠやtypeⅢなどを評価,報告することで適切な対応が可能となる.
また現在,腹部大動脈瘤破裂による死亡率減少に貢献する取り組みとして,東北大学病院を中心に東北地方の協力施設とともに「エコーによる腹部大動脈瘤の有病率の調査」を実施ししているが,エコーによる腹部大動脈のスクリーニングはAAA早期発見に重要な役割を果たす.この調査結果もまとまり次第,報告する予定である.
【今後の展望】
血管エコーは機動性が高く,繰り返し評価可能であり,リアルタイムに結果が得られることなど多くの利点を有することより,大動脈疾患の診療に貢献できる診断ツールの一つとして今後益々その有用性が高まると思われる.