Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 2 大動脈疾患に血管エコーはどこまで有用か

(S482)

経カテーテル大動脈弁留置術に伴う大動脈プラークの形態変化とその特徴

Longitudinal Changes of Atherosclerotic features in the Aorta on Transcatheter Aortic Valve Implantation using Transesophageal Echocardiography

坂東 美佳1, 西上 和宏1, 堀端 洋子2, 坂本 知浩2

Mika BANDO1, Kazuhiro NISHIGAMI1, Yoko HORIBATA2, Tomohiro SAKAMOTO2

1済生会熊本病院集中治療室, 2済生会熊本病院循環器内科

1Department of Critical Care and Cardiology, Saiseikai Kumamoto Hospital, 2Department of Cardiology, Saiseikai Kumamoto Hospital

キーワード :

【背景】
ハイリスクの高度大動脈弁狭窄症に対して,経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が普及しつつある.TAVI後には高頻度に無症候性塞栓症を発症するという報告があり,塞栓症の原因の一つに大動脈プラークが挙げられるが,TAVI前後での大動脈プラークの変化に関する詳細な検討は少ない.今回,我々はTAVIに伴う大動脈プラークの形態変化と特徴を明らかにすることを目的とし,検討した.
【方法】
2013年12月から2015年12月に当院でハイリスクの高度大動脈弁狭窄症に対して,Edwards社Sapien XTを用いてTAVIを施行した92例(平均年齢85歳,女性63例,経大腿動脈アプローチ80例)を対象とした.2D経食道心エコー図を用い,大動脈弓部中間部,遠位弓部,下行大動脈の3部位でそれぞれの短軸像を0〜4時方向(A),4〜8時方向(B),8〜12時方向(C)に分割し,計828部位での大動脈プラークの手術前と弁留置後での変化の有無を比較評価した.プラークのグレードは,Ⅰ:2mm未満,Ⅱ:2〜4mm未満,Ⅲ:4mm以上で表面平滑,Ⅳ:4mm以上で表面不整,Ⅴ:可動性,と分類した.
【結果】
手術前に可動性プラークを10例(11%),13プラーク(2%)で認めた.TAVI後に症候性塞栓症の発症を2例(2%)で認めたTAVI後で症候性塞栓症の発症を2例(2%)で認めた.弁留置後にプラークの形態変化を22例(24%),37プラーク(4%)で認め,発症部位はそれぞれ弓部中間部(A:7例,B:3例,C:3例),遠位弓部(A:7例,B:4例,C:1例),下行大動脈(A:2例,B:9例,C:1例)であった.弁留置後にプラークの形態変化を認めた手術前のプラークグレードはⅠ0例,Ⅱ3例,Ⅲ9例,Ⅳ16例,Ⅴ9例であった.
【結論】
TAVIに伴い,カテーテル操作によると思われる大動脈プラークの性状変化を観察し得た.手術前のプラークグレードⅢ以上で,弓部大動脈では0〜8時方向,下行大動脈では4〜8時方向において,プラーク形態の変化が多い傾向であった.同部位で手術前に4mm以上のプラークを認める場合にはプラークの形態変化を注意して観察する必要があると考えられた.