Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 2 大動脈疾患に血管エコーはどこまで有用か

(S482)

急性大動脈解離の診断に血管エコーはどこまで有用か?

How do we use vascular ultrasound to diagnose Acute aortic dissction?Diagnosis for Acute Aortic Dissection

吉牟田 剛

Tsuyoshi YOSHIMUTA

金沢大学臓器機能制御学循環器内科・保健管理センター

Division of Cardiology, Kanazawa University Graduate School of Medicine

キーワード :

急性大動脈解離(acute aortic dissection : AAD)は,緊急の治療を要する重篤な疾患で,急性期に迅速な診断が必要である.AADの診断には,CT検査,MRI検査,経食道エコー図検査,体表心エコー図検査などが用いられており,その中でもCT検査が最も信頼度が高く,臨床の現場で汎用されている.
一方で,心エコー図検査は大動脈の描出において情報量が多く,特に体表心エコー図検査は短時間で非侵襲な検査として,AADの診断をベッドサイドで迅速に行うことが可能であり,分枝動脈への解離の進展,心タンポナーデや大動脈弁閉鎖不全症などのAADの合併症の診断に有用である.体表心エコー図検査は,経食道心エコー図検査と比較して,AADに対する信頼度は低下(体表心エコー図検査:感度68%,特異度70%,経食道エコー図検査:感度98%,特異度98%)するが,その理由として,肋骨や肺によってエコーwindowが限られることや偽腔閉塞が体大動脈解離の場合に剥離内膜の同定が困難なことがあげられる.
本セッションでは,体表心エコー図検査の弱点を補うアプローチの方法や,特にAADに合併する脳梗塞の場合,無症候性や胸痛といった大動脈解離の典型的な症状を呈しないAADを見逃さないため血液検査のマーカーを併用するなど,診断に有用な所見を提示しながら,急性期の血管エコー図検査の役割について概説したい.