Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 1 血管診療に必要なモダリティは何か?!血管エコーvs他のモダリティ

(S478)

TVFを利用した下肢動脈スクリーニングエコー

TVF for screening echo of lower limb arteries

久保田 義則

Yoshinori KUBOTA

北播磨総合医療センター中央検査室

Biophysical Department, Kitaharima Medical Center

キーワード :

【はじめに】
TVFは2009年に水田らが提唱した概念であり,下腿動脈のスクリーニング検査に有用である.我々も日常検査の中で有効に活用しているが,TVFが病態をどのように反映しているのかの検討は行われていない.
【目的】
TVF算出時に測定される数値を検討し,血圧脈波検査で得られるbaPWVの値と比較することによりTVF応用範囲拡大を模索する.
【方法】
2014年1月から2015年8月の間に下肢動脈超音波検査を行った152例300肢の内,前後2週間以内に血圧脈波検査を行った69例138肢について検討を行った.検討項目は,下肢動脈エコー検査時TVF算出時のために計測された数値(心電図-足首血流波時間)とbaPWVについて比較検討を行った.
【結果】
心電図-足首血流波時間:ABI 0.91以上の症例80肢では,baPWVと逆相関が見られた.ABI 0.90以下の58肢ではbaPWVとは相関が見られなかった.収縮期血圧150mmHg以上の13肢では両者の間に強い相関が見られた.
【考察】
心電図-足首血流波時間とbaPWVは,波形の形成過程において類似の機序が介在すると思われるが,今回の検討により,心電図-足首血流波時間の短縮は血管弾性の低下(動脈硬化の進行)を疑う指標となる可能性が示唆された.また,baPWVと同様に血圧の影響を受けることも示唆された.TVFは下肢の分節的な灌流状態を評価する方法として優れているが,TVF算出の元となる心電図-足首血流波時間も,下肢動脈全体の灌流状態を評価する指標として可能性を秘めており,多くの研究者による,多角的で多数の症例での検討が切望される.