Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
パネルディスカッション 血管 2 血管エコーにおける指導育成

(S470)

血管エコーの指導育成における超音波指導医の役割

Role of FJSUM in education of vascular US

平井 都始子

Toshiko HIRAI

奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部

Endoscopy and Ultrasound, Nara Medical University

キーワード :

1.血管エコーの現状
現在,日本超音波医学会の認定する超音波専門医は総合,循環器領域,消化器領域,腎・泌尿器科領域,産婦人科領域,乳腺領域,甲状腺領域,眼科領域,整形外科領域,脳神経領域,呼吸器領域の専門領域に分かれ,血管領域の超音波専門医はない.それぞれ専門領域ごとに超音波専門医研修カリキュラムが定められ,血管エコーに関する研修目標が定められているのは,総合,循環器,腎・泌尿器,整形外科,脳神経の5領域のみで,しかも腎動脈病変の超音波診断に関する研修カリキュラムは腎・泌尿器領域にしかないなど,限られた領域についての研修目標である.その中でも,(a)全ての専門医が到達すべき知識・技術として挙げられているのは,脳神経領域の「超音波診断が有用な脳血管疾患とその所見を説明できる」の項目だけで,他の血管エコーに関する研修目標は,(c)該当する領域において専門医が到達すべき知識・技術,(d)該当する領域において,専門医がさらに高度の専門性を獲得するために到達すべき知識・技術でしかない.そのため超音波専門医であっても血管エコーの技術や知識が必ずしも十分とは言えず,専門領域によっては少なくとも研修カリキュラム上血管エコーの知識は全く必要とされていない.従って,全身の動脈や静脈の超音波診断に精通している超音波専門医はほぼ存在しないと考えられる.
一方,超音波検査士の認定では血管領域があり頚動脈,大動脈,末梢動脈,腎動脈,末梢静脈について超音波診断の技術や知識が問われる.私は,松尾汎先生と血管領域の超音波検査士制度委員会委員を担当しているが,受験時に提出される抄録を見ると,バランス良く全ての血管病変を経験している受験生は少なく,頸動脈の症例の抄録は素晴らしいが末梢動脈の抄録は狭窄病変が1症例しかないなど,偏った血管病変しか経験していない受験生が多いことに気が付く.これは,血管エコーを依頼し,指導する超音波専門医が,循環器,脳神経,腎・泌尿器などの専門領域に分かれており,1つの施設に複数の領域の超音波専門医がいることは少ないのを暗に示しているように思われる.
2.血管エコーの指導育成に向けて
上記のような現状を踏まえて,血管エコーの指導育成に重要と思われる3点を挙げる.
①血管エコーガイドライン作成
松尾先生を中心とした多くの先生方の尽力により「超音波による頸動脈病変の標準的評価法」「下肢深部静脈血栓症の標準的評価法」「超音波による大動脈・末梢動脈病変の標準的評価法」「超音波による腎動脈病変の標準的評価法」4つの血管エコーのガイドラインが作成されている.これらはそれぞれの領域の専門家により作成された血管エコーのバイブル的な存在であり,血管エコー教育の中心となる.一部改訂作業が進行中であるが,診断法や治療法の進歩に合わせて今後も改訂していく必要がある.
②講習会,ハンズオンセミナーの開催
教科書を読んでもすぐに血管エコーができるわけではなく,プローブのあて方や描出のコツ,正しい計測方法など血管エコーの基礎を身に着けるための場が必要である.ここでは各領域の専門医とベテランの超音波検査士(血管)の協力が重要である.
③症例を経験するための研修施設の整備
正常例で基本的な手技ができるようになっても,実際の症例を経験しなければ臨床に役立つ超音波診断ができるようにはならない.1施設だけで広く症例を経験するのは困難な場合が多く,血管の超音波検査士を目指す技師の研修を受け入れる施設を地域ごとに登録するような仕組みが望まれる.