Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
パネルディスカッション 腎・泌尿器 2(JSSとの共同企画) 腎泌尿器疾患で必須な超音波所見を得るためのルーチンテクニックを探る

(S452)

陰嚢内容のルーチンテクニック

Routine check technique in the scrotum contents

渡辺 秀雄

Hideo WATANABE

小張総合病院生理検査科

Department of Clinical Physiology, Kobari General Hospital

キーワード :

はじめに
陰嚢内容疾患は,急性腹症の鑑別疾患となるものや,患者の今後の生殖機能を大きく左右するものまで多彩な病態を呈し,正確で迅速な診断が求められる.本稿では所見を得るためのテクニックについて,当院で行っている陰嚢内容のルーチン検査をもとに解説する.
① 検査の準備
探触子は高周波のリニア型を用い,深部や広範囲の観察を行う時は適宜コンベックス型を選択する.患者は痛みや不安を抱えている上,陰部をさらけ出し検査を行うため,検査前に十分な検査内容の説明を行い,タオルなどで露出を最小限に抑えるなどの心掛けが必要となる.仰臥位で患者に陰茎を腹側に挙上してもらい,陰嚢の下に束ねたタオルなどを置き固定する.
② 基本的な走査方法
十分なゼリーを塗布した後,まず縦断走査では精巣長軸に沿って探触子を置き,精巣が描出されなくなるまで平行走査を行う.続いて探触子を反時計方向に90°回転させ同様の走査を行い精巣の端から端まで詳細に観察を行う.精巣上体は精巣の頭側から尾側にかけて細長く伸びて接しているため,連続性を追いながら観察を行う.
③ 陰嚢内容の正常像
僅かな変化を捉えるためには,まず正常像をしっかりと理解することが大切である.精巣は陰嚢中隔により隔離され,横断像では精巣が左右に円形状に描出される.片側または両側欠損している場合は,停留精巣や移動精巣を疑う.縦断像では表面平滑な楕円形となり,内部は充実性で微細均一なエコー像を呈する.精巣上体は精巣に比べて若干粗いエコー像を呈する.精巣及び精巣上体の血流は低流速であるため,ドプラによる評価には適切な設定条件が必要で,流速レンジやカラーゲイン,フィルターなどに注意して観察することがポイントとなる.
④ 陰嚢内容疾患の臨床所見
陰嚢内容の超音波検査は,スクリーニングで行うことは少なく,ほとんどが何らかの症状を伴った方が対象となる.そこで陰嚢内容疾患特有の臨床所見を捉えることで,ある程度疾患を絞ることができる.
・有痛性腫脹:精巣捻転症,精巣垂・精巣垂捻転症,精巣炎,精巣上体炎など
・無痛性腫脹:精巣腫瘍,陰嚢水腫,精索静脈瘤など
・プレーン徴候:(陽性)精巣捻転症(陰性)精巣炎,精巣上体炎
・ブルードットサイン:精巣垂・精巣上体垂捻転症
・AFP,hCG,LDH上昇:精巣腫瘍
・発熱,WBC,CRP上昇:精巣炎,精巣上体炎
⑤ 左右の陰嚢を比較する
正常であれば精巣及び精巣上体は左右対称に存在するため,大きさや性状,血流情報など左右を比較する事により病変が見つけやすくなる.例えば炎症性疾患では,病変部は腫大し内部の血流が亢進する.腫瘍性病変では,多くが不整な低エコー領域として認められ,左右を比較することで病変に気が付くことができる.ドプラによる血流評価は,同じ設定条件で左右を比較することがポイントで,特に精巣捻転症では精巣内の血流の減弱または消失がきわめて重要な情報となり細心の注意を払う.
まとめ
陰嚢内容の超音波検査は,容易に練習できる領域ではなく,未経験のまま検査を行わなければならない事もある.正確で迅速な検査をするには,陰嚢内容疾患特有の臨床所見と正常像をしっかりと理解し,左右を詳細に比較することが大切である.