Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
パネルディスカッション 腎・泌尿器 1 副腎腫瘍の超音波診断

(S446)

副腎の超音波検査手技

Visualization method of adrenal glands

鶴岡 尚志1, 村島 直哉2

Hisashi TSURUOKA1, Naoya MURASHIMA2

1国家公務員共済組合連合会三宿病院診療技術部, 2国家公務員共済組合連合会三宿病院消化器科

1Department of Medical Technorogy, Mishuku Hospital, 2Department of Gastroenterology, Mishuku Hospital

キーワード :

1.まず,位置と正しい形を知る
副腎の描出は,副腎がある位置と,正常の形を正しく認識することが第一である.
副腎は一対で,それぞれ左右の腎臓の上端付近にあり,腎臓とともに脂肪被膜に被われている.副腎の大きさは縦約50mm,幅約30mm,厚さは2から5mm程度の薄い実質の組織である.右副腎は扁平な三角形,左副腎は半月形のことが多いが,一定の形態ではない.
右副腎は,右腎上極と下大静脈,肝臓,横隔膜脚に囲まれた位置にあり,この領域を右副腎領域という.しばしば右副腎の一部は下大静脈の背側まで達することがある.
左副腎は,左腎上極の頭側の内側にあり,左腎上極と脾臓,横隔膜脚に囲まれた左副腎領域に描出することができる.
ここで挙げた副腎周囲にある臓器は,スキャニングの際に副腎を探すランドマークとなる.
2.副腎を見るための設定が大切
副腎は描出される位置が深い上に,エコーレベルの高い脂肪組織および結合組織に囲まれており装置の条件を適切に調整することも大切である.フォーカスを合わせ(深くし),ゲインを下げて描出するのは必須である.これにより薄い組織である副腎を周囲の脂肪織と弁別して観察することができる.
スキャニングの際には,条件を合わせた上で,先にあげた副腎周囲のランドマークを念頭に,まず横隔膜脚を見つけると副腎が認識しやすい.
3.スキャニングと正常副腎の超音波像
副腎のスキャニングは,左右それぞれの冠状断方向からのアプローチ(縦走査)と季肋部のアプローチ(横走査)が一般的である.いずれも適切な体位でスキャンするのがポイントである.
①右副腎
右副腎は,通常は右肋間のアプローチで縦断層での描出が容易である.プローブは中腋窩線上で縦に当て,冠状断方向の断面で描出する.この時にプローブを肋間の方向にあえて合わせない.右肋間縦走査で肝右葉を介して正常の右副腎を描出すると,肝臓と横隔膜脚の間に,Y字ないしV字を横にした形に描出されることが多い.
右季肋部横走査で横隔膜方向を見上げるように描出すると,右腎上極の頭側,肝右葉の背側にY字型を横にした形状の副腎が描出される.このアプローチでの観察は,体格や肝門部付近の構造の影響を受けやすいので,側臥位の角度を調節して描出条件の良い方向を探る必要がある.
②左副腎
左副腎は,右半側臥位で左側腹部(後腋窩線上)にプローブを当て,冠状断方向の断面での描出が容易である.右副腎と同様にプローブは縦に当てる.画像上は,左腎上極の内側,脾臓と横隔膜脚の間が左副腎領域である.左副腎は楕円形ないし三角形に描出されることが多い.
左季肋部でスキャンする場合には,仰臥位もしくは右側臥位で描出する.消化管ガスの影響がなければ,膵臓の背側,上腸間膜動脈の左背側方向に矢頭状に描出される.
4.それでも描出するのが難しいケースもある
季肋部の横走査ではしばしば手前の組織や消化管ガスによる影響を受けるので,冠状断方向のスキャンの方が描出できる確実性が高い.それでも副腎を認識しにくい症例も経験することがあり,副腎が小さかったりやせていたりする症例では,超音波の描出の限界と考えている.
一方,副腎の観察で大切なのは,スクリーニングの場合では「副腎領域」に腫瘤があるか否かであり,病変がある場合では由来臓器の確認や周囲の臓器への影響の情報を得ることである.これらの観察を行うためには,先に挙げたランドマークと体位を使ってのスキャニングが必要である.