Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
ワークショップ 産婦人科 胎児治療における超音波診断の役割

(S394)

胎児不整脈の早期発見のための超音波診断の役割

Usefulness of echocardiography for early detection of fetal arrhythmia

三好 剛一, 根木 玲子, 釣谷 充弘, 吉松 淳

Takekazu MIYOSHI, Reiko NEKI, Mitsuhiro TSURITANI, Jun YOSHIMATSU

国立循環器病研究センター周産期・婦人科

Perinatology and Gynecology, National Cerebral and Cardiovascular Center

キーワード :

【目的】
胎児不整脈は全妊娠の1-2%に認め,その大部分は期外収縮で治療を要さないが,なかには胎児心不全,胎児・新生児死亡に進行するものもあり注意を要する.また,原因不明の胎児死亡の約10%に胎児不整脈(主にQT延長症候群)が関連しているとする報告もあり,その早期発見・診断が重要と考えられる.胎児不整脈の発見契機及び背景因子を明らかにすることにより,胎児不整脈の早期発見のための超音波診断の役割について検討した.
【方法】
2007から2014年に当院で胎児不整脈診断された137例を対象として,診断週数,発見の契機,母体背景,胎児の合併異常,発育不全と,胎児不整脈の種類との関連性について後方視的に検討した.胎児不整脈診断は,胎児心臓超音波検査(M mode,pulsed Doppler),胎児心拍数モニタリング,胎児心磁図を併用して行った.
【結果】
頻脈性不整脈(T群)30例,徐脈性不整脈(B群)16例,QT延長症候群(Q群)22例,期外収縮(E群)69例であった.そのうち,T群15例,B群5例,Q群2例で胎児治療を要した.診断週数は平均32週で,B群が28週と最も早かった.発見の契機は,妊婦健診時の超音波検査109例,母体QT延長症候群16例,胎児心拍数モニタリング8例,胎児心構造異常4例であった.Q群の86%が家族性で,B群の25%でシェーグレン症候群を認めた.胎児発育不全をB群の44%,Q群の23%で合併し,前者は胎児治療としてのステロイド,後者は母体治療としてのΒ遮断薬の影響が考えられた.胎児心構造異常をB群の38%,T群の27%で合併し,前者は内臓錯位症候群(左側相同),後者はEbstein病,心臓腫瘍と関連していた.B群で心外合併異常が25%と高率であった.T群30例中,10例で発症前に期外収縮が指摘されており,ブロックを伴う心房性期外収縮が8例,心房性期外収縮のshort runが2例であった.Q群22例中,6例で軽度の徐脈,2例で2:1房室ブロック,2例でTorsades de Pointesを生じ胎児治療を要した.
【考察】
胎児不整脈の大部分が妊婦健診時の超音波検査で偶発的に発見されていた.頻脈性不整脈,徐脈性不整脈,QT延長症候群に伴うTorsades de Pointesは胎児期・新生児期に治療介入を要するため,早期発見することの意義は大きいが,各疾患とも母児の背景因子に特徴的な所見を有していた.心房性期外収縮で出現頻度が高いものの一部で頻脈性不整脈へ移行しており注意を要すると考えられた.QT延長症候群の胎児診断には,胎児心磁図が必要であるが,洞性徐脈(80〜100 bpm),2:1房室ブロック,間欠的な心室頻拍等の超音波所見からも疑うことが可能と考えられた.QT延長症候群を胎児期に疑うことで,切迫早産治療時にΒ刺激薬でTorsades de Pointesが誘発されたりすることを回避できる可能性がある.
【結論】
胎児不整脈の種類による母児の背景因子を知っておくことは,早期診断の一助となる可能性がある.特にQT延長症候群を疑う胎児超音波所見は重要と考えられた.