Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科 2 胎児胎盤機能の超音波評価

(S374)

CPRはFGR児の周産期予後を予測できるか?

Can the CPR be a predictor of adverse outcomes in intrauterine growth restriction?

太田 志代, 山本 亮, 金川 武司, 石井 桂介, 光田 信明

Shiyo OTA, Ryo YAMAMOTO, Takeshi KANAGAWA, Keisuke ISHII, Nobuaki MITSUDA

大阪府立母子保健総合医療センター産婦人科(周産期)

Obstetrics, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health

キーワード :

【目的】
胎児発育不全(FGR)児におけるcerebroplacental ratio(CPR)の周産期予後予測因子としての意義を検討する.
【方法】
2012年1月から2014年12月までに分娩した単胎FGRを対象とした後方視コホート研究であり,診療録より情報を抽出した.FGRは推定体重(EFW)が2回以上-1.5SD以下であったものとし,胎児異常は除外した.CPRは中大脳動脈(MCA)PI値を臍帯動脈(UA)PI値で除して算出し,分娩直前の計測値を用いた.
FGRを1)妊娠32週未満に診断されたEarly-onset群と2)妊娠32週以降に診断されたLate-onset群に分類し,1)では児の複合有害事象(周産期死亡,陽圧換気,脳室内出血(IVH),脳室周囲白質軟化症(PVL),壊死性腸炎,敗血症のいずれか)を,2)では陣痛発来前または分娩進行中の胎児機能不全を適応とした緊急帝王切開または器械分娩をアウトカムとして頻度を検討した.また,母体背景と超音波因子の中から,各々のアウトカムに対する関連因子の調整オッズ比(aOR)をロジスティック回帰分析を用いて算出し,予後予測因子を明らかにした.連続変数のカットオフはROC曲線を用いて算出した.
【結果】
1)Early-onset群の解析対象70例において,母体年齢中央値は31歳(18-45),初産は42.9%(30例),分娩前発症の妊娠高血圧症候群(PIH)は44.3%(31例)であった.FGR診断週数の中央値は26週(17-31),推定体重SDの中央値は-2.5SD(-1.8−-4.9),CPR中央値は0.76(0.09-3.18)であった.児の複合有害事象は45例(64.3%)(周産期死亡8例,陽圧換気39例,IVH3例,PVL2例,敗血症1例)であった.アウトカムに対する独立した予測因子は分娩前発症のPIH(aOR: 4.79,95%CI: 1.67-13.69),CPR<0.7(aOR: 6.04,95%CI: 1.54-23.64)であった.
2)Late-onset群の解析対象77例において,母体年齢中央値は32歳(19-42),初産は53.2%(41例),分娩前発症のPIHは14.3%(11例)であった.FGR診断週数の中央値は34週(32-36),推定体重SDの中央値は-2.1SD(-0.4−-4.3),CPR中央値は1.48(0.46-2.93)であった.胎児機能不全を適応とした緊急帝王切開または器械分娩の頻度は19.5%(15例,うち帝王切開7例)であった.アウトカムに対する独立した予測因子は初産(aOR: 14.3,95%CI: 1.82-112.4),CPR<1.1(aOR: 10.4,95%CI: 1.03-105.6)であった.
【結論】
CPRは,Early-onset FGRでは児の死亡や新生児合併症の予測因子となり,またLate-onset FGRでは急速遂娩を要する胎児機能不全の予測因子になりうる.